1977 年 89 巻 9-10 号 p. 1165-1176
胃癌38例について癌胃各部のco1lagenase活性を,組織培養法により測定し,形態学的特徴とcollagenase活性の相関を追求し,腫瘍の進展におけるcollagenaseの役割を検討した.結果は,癌胃全体では癌の進展先進部で最も高い活性がみられ,組織型別にみると,低分化傾向を示す癌ほど活性が高いと同時に,低分化腺癌の髄様型ではとくに高活性であった.進展形式についてみると, INFβの進展先進部の活性が高く,また表層拡大型早期癌の粘膜進展先進部で高活性であり,癌の進展の強さや方向とともに癌細胞密度とcollagenase活性は,相関する傾向を示した.