歯科基礎医学会雑誌
Print ISSN : 0385-0137
加水分解酵素とその阻害体, 活性体について
ヒト唾液β-glucuronidaseとその阻害体
坂本 亘西風 脩杉村 俊之
著者情報
ジャーナル フリー

1972 年 14 巻 4 号 p. 482-486

詳細
抄録
著者らはう蝕や歯周疾患の発生機序並びにその要因を解析する一つの手段として, lySOSomal enzymeとその阻害体について研究した。今回はヒト唾液よりβ-glucuronidaseとglycoproteinよりなるその阻害体の抽出, 純化を試み, 生化的解析をおこなった、本酵素の至適pHはDEAE-cellulose, Sephadex G-200 column chromatographyによる純化により, 出発材料の5.7から4.1にshiftした。このshiftは唾液中に存在する本酵素の阻害物質によることが明らかになった。この阻害物質は蛋白質, ヘキソース, ヘキソサミン, シアル酸等よりなるglycoproteinで, pI2.1, 分子量20万前後で, 阻害様式はnon-competitiveでNaCl, KCl, Na2SO4等の無機イオン, ヒストン, リゾチーム等の塩基性蛋白質添加により可逆的に回復できた。この阻害物質はsialidase処理により失活することから, 又, Perlitshらの上記疾患唾液中の遊離シアル酸が健康人に比して数倍という報告からこの阻害物質の量とこれら疾患において相関関係の可能性を示唆した。
著者関連情報
© 歯科基礎医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top