歯科基礎医学会雑誌
Print ISSN : 0385-0137
走査電子顕微鏡によるエナメル質の直接観察法について
星野 洸武田 正子後藤 嗣雄
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1972 年 14 巻 4 号 p. 509-517

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抄録

従来の走査電子顕微鏡によるエナメル質の研究では, 通常, 金属等を真空蒸着した試料が用いられてきたが, この装置によるエナメル質の観察を基礎的に検討した結果, 低加速電圧を使用すれば, 非蒸着試料を直接に観察しても, 著しい表面帯電とエッジ効果のみられない比較的良質な二次電子像の得られることがわかった。この方法による有効な観察倍率は試料の形状によって制限されるが, エナメル質の自然表面または破折面については約1万倍, 酸腐蝕面については約3千倍であった。この方法にはエナメル質に関する実験的研究において一定部位の形態変化を経時的に追究出来る利点がある。この応用の1例として酸処理によるエナメル質の形態変化を酸処理の前後の像によって示した。

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