歯科基礎医学会雑誌
Print ISSN : 0385-0137
胎歯Fetal teethと新産歯Neonatal teethの組織学的観察
北村 博則都築 英子
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1974 年 16 巻 1 号 p. 1-15

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抄録
約5000体の流産胎児から発見された胎歯の10例を組織学的に観察し, 胎歯を有する胎児の内臓, とくに内分泌器官をも観察し, 胎歯発生の機転を究明した。10例中9例は歯胚が口腔に現われて歯の一部が萠出したような像を示しているが, 組織学的には正確な意味での萠出ではなくて, 変性し弱められた口腔粘膜を歯胚が流産時の子宮の収縮によって通過して押し出されたものである。他の1例は正常な歯胚を有する歯肉部の上皮だけが著しい肥厚をなし, あたかも萠出歯を思わせるように形成されていた特異的なものである。新産歯はエナメル質と象牙質を備えた整形の無根歯であるが, 歯冠にセメント質が多量形成されている特異像を示すものである。胎歯の発生機転に関与すると思われる母体と胎児の内分泌機能とその両者の相関, 母体の疾病や中毒症状で胎歯発生を起縁づけるもの, 母体や胎児の遺伝的因子についても考察した。内外の文献から74例を検討した。
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