歯科基礎医学会雑誌
Print ISSN : 0385-0137
Streptococcus mutansにおけるM, m, N変異
力石 秀実臼井 千雄加畑 みち子熊谷 勝男
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1974 年 16 巻 1 号 p. 105-114

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抄録

Streptococcus mutansのいくつかの株 (PK 1, HS 6, GS 5, Ingbritt) についてその自然変異株およびmutagenによる誘発変異株を得た。これらの親株および変異株のコロニー性状, 増殖特異性, 糖資化性, 溶血性, ガラス壁吸着性などの生物学的性状を検索した。
この結果, 次のような成績を得た。(1) 5%蔗糖加寒天培地上のコロニー形態からこれらの株はM型,(mucoid), m型 (semi-mucoid), N型 (non-mucoid) のいずれかに分類される。(2) 5%蔗糖加ブロース中で培養することにより, M型はガラス壁に大きな凝集塊で吸着し, m型は小さな塊で吸着するが, N型は全く吸着を示さなかった。(3) M型の増殖はCO2依存性が極めて強く, m型, N型は弱い。(4) M-m変異は比較的高い変異誘発率 (0.1~0.3%) を示す他, 紫外線照射によって高率 (41.1%) に変異が誘発された。(5) M-m, M-N, m-N, m-M変異は認められたが, N-M, m変異は認められなかった。N型への変異は極めて低率であった。(6) PK 1株M型は紫外線照射により容易に溶菌し, m型は弱く, N型は溶菌が認められなかった。

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