歯科基礎医学会雑誌
Print ISSN : 0385-0137
顎関節よりの求心性神経情報に関する研究
阿部 勝也
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1974 年 16 巻 2 号 p. 117-128

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抄録

顎関節よりの求心性唐報の生理的特性を明らか1ごするため, ネコを用い, 顎関節嚢に機械的刺激を与え・耳介側頭神経に誘発される求心性信号を記録すると共に, これらの求心性情報が咀嚼筋支配の運動ニューロンにいかに影響するかについて検討した。
下顎頭の回転運動により耳介側頭神経中に速順応性および遅順応性反応を示す線維の存在が認められた。このうち, 遅順応性反応を示す線維が大部分であり, その放電様式は関節窩における下顎頭の位置および運動の方向, 速度に応じて変化した。上記の刺激により賦活された顎関節部からの求心性信号は, 両側性に咬筋支配のα運動ニユーロン活動を抑制し, 逆に顎二腹筋支配の運動ニューロン活動を促進した。
本実験から, 顎関節嚢後外側部に存在する感覚受容器は耳介側頭神経を介して, 関節の位置および運動に関する情報を中枢に伝達し, さらに両側性に閉口筋および開口筋の活動を相反的に制御することが明らかになった。

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