歯科基礎医学会雑誌
Print ISSN : 0385-0137
ニザダイのエナメル質形成時におけるエナメル芽細胞の微細構造に関する研究
脇田 稔
著者情報
ジャーナル フリー

1974 年 16 巻 2 号 p. 129-185

詳細
抄録

類のエナメル質は中胚葉性エナメル質といわれている。したがって比較発生学的見地から, 歯の形成機構に関する研究の一端として, 硬骨魚のニザダイを材料とし, 歯胚における内エナメル芽細胞の, 初期段階から各エナメル質形成過程における, 形態と構造に関する時期的な推移変化について電子顕微鏡を用いて観察を行なったものである。
エナメル質の基質を構成するcollagen線維は中胚葉領域に形成されるが, エナメル芽細胞は基質形成期に急速に伸長し, トームスの突起が形成され, 各細胞小器官が発達する。基質形成の後半になると, 細胞長は最大になる。
ニザダイのエナメル質は中胚葉エナメル質とはいえ, 基質形成からエナメル質形成の最終段階にいたるエナメル質形成全期間を通じ, エナメル芽細胞の関与によって形成される。しかも基質形成初期から発生時期が進むにしたがってより活発なエナメル芽細胞の関与によってエナメル質は形成される。

著者関連情報
© 歯科基礎医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top