歯科基礎医学会雑誌
Print ISSN : 0385-0137
象牙質とTetracyclineについて
石川 堯雄川崎 堅三田中 秀
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1975 年 17 巻 3 号 p. 219-235

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抄録

Tetracycline系薬物は, 投与量が限度を越えると骨や歯に形成障害を起すことが知られている。そこで, 毒性の少ないdentine markerとしてtetracyclineを使用したいことから, 適切なmarkingに見合う投与量の範囲を確認する目的で, ブタとヤギにtetracyclineを3-150mg/kgの範囲で投与し, それらの歯を螢光顕微鏡, 偏光顕微鏡microradiographyなどを使用して, ヒトの歯と比較観察した。その結果, 3-31mg/kgの範囲では, 象牙質の基質形成や石灰化に異常を認めないが, 62-150mg/kgでは, 62mg/kgで基質形成異常を認め, さらに, 150mg/kgでは, 基質形成異常と共に石灰化異常をも認めるようになる。ヒトの歯では, 時にラベリング線に一致する基質形成異常や石灰化異常を認めたが, 推測されるヒトの投与量と動物実験の結果から, これらはtetracyclineによるよりも, むしろ投与当時の全身的影響によるものと考えられる。

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