歯科基礎医学会雑誌
Print ISSN : 0385-0137
生きている古代魚ラブカChlamydoselachus anguineusの歯に関する研究
I. 歯の形態・構造・組成について
後藤 仁敏橋本 巌
著者情報
ジャーナル フリー

1976 年 18 巻 3 号 p. 362-377

詳細
抄録
駿河湾で採集された原始的なサメ, ラブカの歯を材料として, その配列様式・形態・構造・支持様式・組成について, 肉眼観察, 研磨標本と各種染色脱灰切片の光学顕微鏡による観察, X線回折法, アミノ酸分析などの方法で, 研究をおこなった。ラブカの歯は, その配列様式, 形態とも, 古生代のCladoselacheによく似ており, サメ類の歯の基本型をとどめるものと考えられる。歯の硬組織は, 高度に石灰化した外層, 中心の歯髄からのびる多数の分岐した細管が放射状に走る内層, 多数の髄腔をふくむ骨様構造をした基底層からなっている。また, 歯は, 基底層と周囲の線維性結合組織を結ぶシャーピー線維と, 口腔上皮から連続する付着上皮によって支持されている。さらに, 歯の硬組織をつくる鉱物はapatiteを主体としており, 硬組織中のタンパク質は, おもにコラーゲンであることがあきらかにされた。
著者関連情報
© 歯科基礎医学会
前の記事
feedback
Top