歯科基礎医学会雑誌
Print ISSN : 0385-0137
In vitroにおける鉛塩の骨無機質動員に関する研究
加藤 有三杉田 由美子滝本 庄一郎
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1977 年 19 巻 3 号 p. 458-462

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抄録

大量の酢酸鉛静注後に起こるラット血清カルシウム (Ca), リン (P) 濃度増大現象の発現機構解明の一端として, 骨無機質に対する鉛塩の直接作用を検索する目的で, 酢酸鉛を添加した血清を溶媒として骨粉末を震塗するin vitro実験を行ない, 以下の結果を得た。
体重450~550gのラットから採取した血清2ml, 骨粉末100mgと各種濃度の酢酸鉛溶液0.2mlを30分間震盪することにより, 溶媒中のCa, P濃度は添加した鉛量に相関して増加した。また, この現象は急激に進行しており, 酢酸鉛を添加した10秒後には, 30分間震盪群に観察された最高増加量に対して, Caは39%, Pは46%の値を示していた。以上のような, 酢酸鉛添加による溶媒中のCa, P濃度の急激な増大は, 骨無機質に対する溶媒中の鉛イオンのなんらかの直接作用によると考えられ, 同様な現象がin vivoの骨表面においても発現する可能性を示唆するものと考える。

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