歯科基礎医学会雑誌
Print ISSN : 0385-0137
中切歯被蓋の同胞間における類似について
酒井 琢朗別所 亜利子小木曽 公
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1978 年 20 巻 2 号 p. 426-430

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抄録

上下顎中切歯間に生ずる水平的および垂直的被蓋が同胞間においてどの程度類似するかを検討するため, この研究を行なった。長野県上伊那郡在住の住民中より得た口腔の石膏模型について水平的被蓋と垂直的被蓋を計測し, 同胞間における類似性を, 関係偏差 (偏差比) および相関係数を用いて検討した。その結果は次のとおりである。
1.水平的被蓋, 垂直的被蓋ともに, 同胞間における類似は血縁的に無関係な他人同志のランダムの組合せ間における類似よりも明らかに強く, この形質がかなり遺伝的に規定されていることを示している。2.水平的被蓋, 垂直的被蓋ともに, 同性同胞間における類似は異性同胞間における類似よりやや強い。この傾向はとくに女性同胞間において顕著である。3.上下中切歯間の被蓋の類似程度は歯冠の大きさの類似とほぼ同程度である。

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