歯科基礎医学会雑誌
Print ISSN : 0385-0137
ラットの歯根吸収に関する電顕的観察
長谷川 清八木 俊雄石田 武
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1978 年 20 巻 2 号 p. 431-442

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抄録

歯牙に過剰な力が加わると, 圧迫側に歯根吸収のみられることはしばしば経験するところである。本研究は, 圧迫側に生ずる歯根吸収の様相を知るために, ラットの上顎第一大臼歯を近心に移動させ, 圧迫側の歯根吸収部を電顕的に観察したもので, 次のような結果を得た。歯根象牙質はruffled borderを有する破歯細胞により吸収される。未脱灰標本では吸収窩に破歯細胞が存在するしないにかかわらず, 吸収部象牙質表層には, 帯状の電子線透過性の高い層, すなわち, 吸収層がみられ, 結晶密度の減少としてとらえられる。EDTA脱灰標本では, 吸収層の象牙質のコラーゲン線維は分解されており, したがって, 象牙質固有の構造は失なわれている。また, 破歯細胞による吸収が中断あるいは停止している象牙質表面には限界板laminalimitansがみられる。しかし, 破歯細胞により吸収をうけつつある領野の象牙質表面には限界板はみられない。

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