歯科基礎医学会雑誌
Print ISSN : 0385-0137
振動力を負荷したヤクニホンザル上顎側切歯の歯周組織の力学的特性の変化に関する検討
江俣 得志
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1979 年 21 巻 3 号 p. 571-585

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抄録

歯を移動させる力として振動力を用いる可能性を検討するため, サルの劃に振動力Fv (100-150Hzの周波数で, 最大荷重40gf, 平均荷重25gf) を, 対照として匿には静荷重Fs (40gf) を1日3時間づっ6日間負荷した. Fv負荷時の荷重と変位の軌跡より求めた歯周組織内で消費されるエネルギーは, 0.13gf・mm/1周期, 6日間の累積では約1×106gf・mmであった. 共振曲線を測定して負荷中の歯周組織のばね定数k, と粘性減衰定数Ctの変化を求めた. 両負荷とも負荷後, 時間の経過にしたがって, k, とc, が増加し, 歯の動揺度が減少し, 約2時間である値に漸近した. Fv負荷によるk, とc, の変化量は, Fs負荷のそれぞれ4倍と2倍であった. Fv負荷では負荷日数が増すと, k, とCtが平衡状態に達するまでの時間が短くなった. これは前日までの負荷の効果が歯周組織に残るためと思われた. Fs負荷ではその様なことはなかった. 以上のように, Fv負荷の方がFs負荷に比べて, 力学的には効果があると思われた.

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