歯科基礎医学会雑誌
Print ISSN : 0385-0137
アマゴ (Oncorhynchus rhodurus) 仔・稚魚の口部形態および歯の分布について
駒田 格知
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1981 年 23 巻 2 号 p. 320-334

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抄録
サケ科魚類の口腔および咽頭には多数の歯がみられ, その分布状況は, 鋤骨, 口蓋骨, 咽舌骨等の骨の形態と共に一つの重要な分類形質として認められている。しかし, これら口腔にある分類形質が成長に伴ってどのように変化するかについては不明な点が多い。そこで, ニジマス属ニジマスに続いてサケ属アマゴの仔・稚魚の口部形態および歯の分布について調査し, 成長に伴ってこれらがどのように変化するかを検討した。
アマゴの体長および体重は, 孵化後約2ヶ月間はほとんど変化しないが, その後, かなり急激に増大する。卵黄の吸収は約1ヶ月齢の頃に開始し, 2ヶ月齢の頃に完了する。一方, 口部の骨格や歯系の形成は約1ヶ月齢の時に始まりその後1ヶ月間はゆっくりと進行する。それ以後は急激に形成が進行し大型化する。仔・稚魚期 (体長20-66mm) における鋤骨の形態, 鋤骨歯数および口蓋骨歯数は成魚期のものに比べて非常に異っていた。鋤骨歯は鋤骨の頭部および柄部に植立し, ニジマス仔・稚魚のものと基本的に同じであった。口部の骨格や歯系が大型化し数を増加する時期は卵黄吸収の完了する時期とほぼ一致していた。
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