1981 年 23 巻 3 号 p. 409-413
歯科で多用されるphenolの中枢神経系にかかわる中毒機序について, マウスにみられるphenol振戦をそのモデルとして取り上げ, 1-dihydroxyphcnylalanine (1-dopa) 投与による影響を検討し, 以下の知見を得た。1%濃度のphenolでは, 皮下投与数分後で振戦があらわれ, その後5~15分の間ではスコアは1であったが投与35分後にはこの振戦は消失した。1-dopa前処置においては用量依存的にphenol振戦のスコアが増加した。末梢性の脱炭酸酵素阻害剤であるRo 4-4602と1-dopaを併用した場合, 1-dopa 200mg/kg単独処置とほぼ同等の作用がRo 4-4602+1-dopa 50mg/kgで得られた。また, マウス脳室内へ直接dopa-mineを注入すると, phenol振戦の増強が観察された。以上の結果より, phenol振戦の発生機序に中枢性のDAが何らかの形で関与することが示唆された。