1981 年 23 巻 3 号 p. 427-438
自然発症性に種々の免疫異常を呈するSL/Ni miceについて, ヒトのSjögren症候群に類する病変のoverlapの有無を検索した。本研究において唾液腺炎とした所見は2ヵ月齢よりみられ, 加齢とともにその程度と頻度は高くなる傾向にあった。また唾液腺炎は腎炎や血管炎より早期に発症し, より高頻度にみられた。唾液腺にリンパ性細胞浸潤のみられたもののうち, 同時に唾液腺内小血管に病変のみられたものはわずか1例のみであり, 唾液腺の変化は血管病変とは直接関連がないと考えられた。抗唾液腺導管抗体ならびに唾液腺内のimmune depositは今回の検索からは明らかでなかった。以上の如く唾液腺病変は他病変より早期に出現し, その発症頻度も高度だったこと, かつリンパ性細胞浸潤は主として導管周囲性に認められヒトのSjogren症候群の初期の組織像に類似していたことなどより, SL/NimiceはSjögren症候群に類する病変をoverlapしているとも考えられた。