1981 年 23 巻 3 号 p. 473-481
各種薬剤の細菌細胞溶解に対する阻害能を43℃, Streptococus mutans HS6-Ly変異菌株を用いて研究した。調べた薬剤のうちで, 4種類の飽和脂肪酸, カルジオリピン, Lシステイン, β-メルカプトエタノール, ジチオスレイトール, 2-DG, セルレニン及び亜セレン酸が最も有効な阻害剤であった。
43℃ での溶解と37℃の溶ー解とを比較したところ, 43℃での溶解は37℃でのマイトマイシンCによる誘発溶解とよく似ているものであった。
亜セレン酸添加はグルタチオンペルオキシダーゼ (GSH-Px) 活性を高めた。この結果からHS6-Lyの溶解は膜に於ける過酸化脂質の生成に基因していることが示唆された。