歯科基礎医学会雑誌
Print ISSN : 0385-0137
フェノールカンフルを含有するゲル剤 (TG-079) の歯痛に対する鎮痛効果およびその歯牙組織障性
田村 豊幸藤井 彰小林 寿美
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1981 年 23 巻 3 号 p. 503-511

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抄録

フェノールカンフルを含有するゲル剤 (TG-079) の歯痛に対する鎮痛効果および歯牙組織障害性に関して, ウサギ・ラット切歯を用いて検討した。鎮痛効果は, 歯髄腔にTG-079を適用後, 歯髄に対する電気刺激による開口反射にて測定し, 組織障害性は, ウサギ切歯の象牙質と歯髄腔にTG-079を適用し, 24時間後に観察を行い, 以下の結果を得た。
(1) TG-079を適用したウサギ・ラットの歯髄で明らかな鎮痛効果が認められ, その鎮痛効果はフェノールカンフルより長時間持続した。(2) ウサギ・ラットの象牙質部分の窩洞にTG-079を適用した場合, 弱い鎮痛効果が認められた。(3) ウサギ歯髄腔に, TG-079, フェノールカンフル, 生理食塩液を適用し, 24時間後に組織障害性を検討したところ, 3者ともに, ほぼ中等度の障害性が観察された。しかしながら, ウサギ象牙質に対する障害性は認められなかった。
以上より, TG-079は歯髄に対する強い鎮痛効果と, 歯髄に達しない歯面塗布での弱い鎮痛効果があることが示唆された。

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