抄録
抗核抗体に対する抗原の代表物質であるDNAをラットに10ヵ月 (週1回) にわたって反復接種し, これに起因する組織傷害を免疫病理学的に追求した。その結果, 最終注射より1週間後に屠殺した群では何ら病変の成立を認めなかったが, 6カ月後に屠殺した群においては, 唾液腺や涙腺にリンパ球の浸潤と増殖を伴なう腺上皮の傷害を高率に認めた。両群のこのような差異に関しては明らかでないが抗体産生組織の疲幣の程度が推測された。
病巣部のリンパ球は, T-cellとB-cellの両方がみい出されたが, とくにT-cellのsubsetであるnon-helper T cellが数多く, このsubsetに属するリンパ球が, その性格上, ADCCやcytotoxic factorによって腺上皮の傷害に関連していることが考えられた。