歯科基礎医学会雑誌
Print ISSN : 0385-0137
食虫類テンレック (Tenrec ecaudatus) の大唾液腺の組織学的ならびに組織化学的研究
峯田 天雄春日 繁男
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1984 年 26 巻 4 号 p. 1078-1093

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抄録

食虫類テンレックの大唾液腺の組織学的ならびに糖質の組織化学的検索を光顕レベルで行なった。
耳下腺, 顎下腺の小葉内排泄管である線条部は顆粒管化し, 舌下腺の排泄管系は発達が悪く, 終末部が直接導管と連絡する。
繊化学的に耳下腺の分泌物は全てN-glycoside結合を示す血清型である。腺細胞の分泌物は中性多糖類と多くのC7-O-アセチル化シアル酸を含む。介在部と顆粒管の分泌物は中性多糖類のみが含まれる。
顆下腺では, acinar cellと顆粒管細胞の分泌物は血清型であるが, terminal tubule cellと介在部顆粒細胞のものは, O-glycoside結合を示すムチン型である。acinar cellの分泌物は少しの中性多糖類を含むが, シアル酸が主体であり, その中のC8-O-アセチル化シアル酸が多い。
terminal tubule cell, 介在部顆粒細胞及び顆粒管細胞のものは, 中性多糖類のみが含まれる。
舌下腺では, 糖タンパク質の分類検索から2種の腺細胞が区別された。両細胞は形態的に類似の粘液細胞であるが, 主体となる腺細胞の分泌物はムチン型で, 特殊細胞のものは血清型である。特殊細胞は主腺細胞間にまばらに介在している。主腺細胞の分泌物は中性多糖類, CO-, C8-, C9-O-アセチル化シアル酸と多くのC7-O-アセチル化シアル酸を含む。一方特殊細胞のものは主腺細胞と同様な成分を含むが, 中性多糖類及びC8-O-アセチル化シァル酸を多く含む。

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