歯科基礎医学会雑誌
Print ISSN : 0385-0137
On the product of prostaglandin E1 oxidized by the myeloperoxidase-H2O2-chloride system
Mihoko OnishiTakeshi Odajima
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1985 年 27 巻 1 号 p. 291-298

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抄録

プロスタグランジンE1がミエロペルオキシダーゼ, 過酸化水素, 塩素イオンによって酸化され, 293nmに吸収極大を持つ物質に変換した (この生成物をプロスタグランジンE293と名付けた)。プロスタグランジンE1とミエロペルオキシダーゼ, 過酸化水素, 塩素イオンとの反応液を薄層クロマトグラフィー (螢光発色剤の含むシリカゲル薄層板を用いた) で調べた結果, 紫外線照射下で螢光を発する1種類の物質 (スポット) が認められ, 薄層板をリンモリブデン酸で染色すると5種類の物質が認められた。紫外線照射下で螢光を発するスポットの部分のシリカゲルを採取し, それより抽出された物質は293nmに吸収極大を持つ物質であった。このことからこの物質はプロスタグランジンE293であると同定した。またプロスタグランジンE293は逆相分配系カラムを用いた高速液体クロマトグラフィーによっても単一物質として分離可能であった。更に36Clを用いたトレーサー実験によって, プロスタグランジンE293が塩素化物であることが実証された。プロスタグランジンE1はアルカリ処理によってプロスタグランジンB1へ, また水素化ホウ素酸還元によってプロスタグランジンF1α およびF1β へ変換することが知られているが, プロスタグランジンE293もアルカリ処理および水素化ホウ素酸還元によって, それぞれ1種類および2種類の物質に変換した。しかし, これらの物質のRf値はいずれもプロスタグランジンB1, F1α, F1β のそれらとは異っていた。プロスタグランジンE293のアルカリ処理および水素化ホウ素酸還元によって生成した物質は紫外部に吸収スペクトルを有し, アルカリ処理で生成した物質は288nmに, 水素化ホウ素酸還元によって生成した物質は275nmに吸収極大を有した。

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© Japanese Association for Oral Biology
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