歯科基礎医学会雑誌
Print ISSN : 0385-0137
Studies on the lytic enzyme from Streptococcus mutans V Prevalence of bacteria lytic against heated cells of Streptococcus sanguis ATCC 10558 in dental plaques of infants
Hisae BabaSeiji Igarashi
著者情報
ジャーナル フリー

1985 年 27 巻 3 号 p. 974-979

詳細
抄録

う蝕の発病に伴って歯垢中のStreptoceccus (S.) sanguisが減少し, 代ってS. mutansが増加してくることが結されている譜者らはその原因の一つを検索するため, まず, S. sanguis ATCC10558株の加熱菌体を混入した寒天培地を用いて, 集落の周囲に形成される透明=帯により, 歯垢中から本菌を溶解する菌株 (溶解菌株) の分離を試みた。その結果ある幼児のう蝕歯と対咬している健全な乳臼歯の小窩裂溝部の歯垢より多数の溶解菌株が得られた、性状検査によりそれらの菌株はすべてS. mutansの性状を有するという結果が得られ, これについては既に第1報で報告した。
本研究では, このような溶解菌株が, う蝕歯と対咬しているために新たなう蝕を生ずる可能性のある健全な歯牙の歯垢中に漕遍的に存在するか否かについて欄を加えた。その結果う蝕歯と対咬している健全な乳臼歯をもっ20名の幼児全員において, 当該乳臼歯の小窩裂溝部の歯垢から溶解菌株とS. mutansが分離された。溶解菌株はいつれもS. mutansの性状を示した。また, 20名のうち9名の歯垢ではS. mutansの方がS. sanguisより優位であった。一方, 健全歯と対咬している健全な前歯の唇面歯頸部噛垢では依然として, S. sanguisが優位で諮解菌株ならびにS. mutansはまったく分離されなかった。

著者関連情報
© Japanese Association for Oral Biology
前の記事 次の記事
feedback
Top