歯科基礎医学会雑誌
Print ISSN : 0385-0137
凍結による骨格筋線維の変性, 崩壊, 再生過程における組織化学的研究
山上 隆裕
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1985 年 27 巻 4 号 p. 1025-1054

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抄録

赤筋であるヒラメ筋 (遅筋) と白筋である腓腹筋 (速筋) と中間筋である咬筋に対して凍結処置を施し, その後にみられる急性破壊, 崩壊, 筋線維の再生過程を組織化学的に観察した。骨格筋線維の分類にはmyosin ATPaseの染色性を利用したBrookeとKaiserの方法に従い筋線維型をI, IIA, IIB, IIC型とした。凍結後の筋崩壊過程においては3種の筋に差を認めなかった。凍結1日から3日後の崩壊筋線維内に多数の衛星細胞(単核細胞)を認め, 凍結5日から7日後にはそれらから分化発達してきたと思われる再生筋線維が多数認められた。筋線維の崩壊時と再生初期においては, レクチン染色で筋線維内に染色性を認め, 膜系の変化が示唆された。凍結5日後の再生筋線維においてミトコンドリア酵素活性の出現を認めたが染色性の差はなかった。再生筋線維は最初IIC型を示し, これからI型とIIB型が分化し, さらにIIB型からIIA型が分化してくることが判明した。

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