抄録
金属冠装着後の周囲歯肉に発現する特徴的な着色の原因を究明するために, 着色歯肉を病理組織学的, 電子顕微鏡的に観察した。着色を起こした歯肉には上皮基底層や基底膜にmelaninの沈着を認め, さらに固有層内の線維芽細胞様細胞やマクロファージの胞体内, 膠原線維間など, 対照例では認められなかった部位にもmelaninを認めた。また固有層深部には褐色ないし黒褐色の塊状物質を認め, この周囲にも多量のmelaninを認めた。元素分析により塊状物質よりSとAgを検出したことより, この物質が歯科治療時に歯肉内に迷入した金属片であると考えた。