歯科基礎医学会雑誌
Print ISSN : 0385-0137
ラットの顔面動脈について
中嶋 順
著者情報
ジャーナル フリー

1988 年 30 巻 2 号 p. 180-191

詳細
抄録

ラットの顔面動脈の起始, 分枝と分布域について, アクリル樹脂注入法により詳細に観察を行った。顔面動脈は外頸動脈が, 顎二腹筋と茎突舌筋との間で, 外側方へ彎曲するとき, その凸側, 前壁から起始していた。本動脈は咬筋と顎二腹筋の間を前下方へ走り, 上行口蓋動脈, 茎突舌筋枝, 顎下腺枝, 扁桃枝を派出していた。さらに本動脈の顎下部は咬筋枝, オトガイ下動脈, 顎下リンパ節枝を派出したのち, 前外側方へ曲がり顔面血管切痕を通って顔面に現われ, 後皮枝, 下唇動脈と口角動脈, 前皮枝, 浅および深後上唇動脈, 上唇動脈, 鼻孔外側動脈を派出したのち, 眼角動脈となって終っていた。顔面動脈からは, 直接の咬筋枝, 口角動脈と深後上唇動脈からの咬筋枝がみられ, 咬筋表層部と深層筋前部の大半に分布していた。皮枝は顔面神経の分枝と耳下腺管にも分布していた。顔面神経は口角後上部で特有な神経叢を形成し, これへは前皮枝と浅後上唇動脈が分布していた。

著者関連情報
© 歯科基礎医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top