歯科基礎医学会雑誌
Print ISSN : 0385-0137
ラット健常歯肉の付着上皮におけるトレーサーとしてのmicroperoxidaseおよびhorseradish peroxidaseの取り込みの相違についての研究
綾坂 則夫中村 元田中 輝男
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1989 年 31 巻 1 号 p. 61-71

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抄録

SD系ラットに, それぞれ別々にmicroperoxidase (MP, 分子径20Å, 分子量1,900) およびhorse radish peroxidase (HRP, 分子径40Å, 分子量40,000) を静注して, 付着上皮 (JE) における両トレーサーの取り込みの相違について電顕レベルで観察した。
両トレーサーともにJEによる取り込みが認められたものの, 細胞に為害作用があるHRPのほうが多く取り込まれた。この所見からして, JE細胞には為害作用をもつ物質に対して選択的に貪食能を発揮する性質があるらしく, また両トレーサーの取り込みは, 歯肉溝に近接する部分 (coronal portion of the JE) に最も多く認められた。すなわち, JEの中でもこの部分が歯周疾患防衛上で, とりわけ重要な役割をはたしていると考えられた。

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