抄録
口腔粘膜異形成上皮について細胞形態計測による解析を行った。計測は, 上皮指数, 有糸分裂指数, 平均核面積, 平均核形態指数, 間質における細胞反応について行った。細胞形態計測により得られた結果は, 異形成上皮の診断基準 (Bánóczy, J., 1976) により決定された組織学的異型度と密接な関連を示した。更に, 非異形成上皮, 扁平上皮癌を含めてCarcinoembryonic antigen (CEA), Epithelial membrane antigen (EMA) , Epidermal growth factor (EGF) についての免疫組織化学的検索を行い, 組織学的異型度, 細胞形態計測結果と比較検討した。CEA, EMAの陽性率は異型度の進行とともに上昇した。一方, EGFでは陽性率の下降がみられた。細胞形態計測および免疫組織化学的検討は, 口腔粘膜異形成上皮の組織学的異型度を把握するうえで有用であることが示唆された。