抄録
4週齢のCBA/H系雄マウスの顎下腺および膵臓を用いて, クロモグラニンAとB, β-エンドルフイン, Met-およびLeu-エンケファリンの局在を各種のモノおよびポリクロナール抗体を用いたPAPおよび間接螢光抗体法から比較検索した。クロモグラニンA陽性物質は顎下腺の顆粒管に局在していたが, クロモグラニンB陽性物質は顆粒管には存在せず, 腺房細胞の周囲に散在するSolitary細胞に局在していた。β-エンドルフィンおよびMet-エンケファリン陽性物質は顆粒管だけでなく, 線条部にも存在していた。Leu-エンケファリン陽性物質は顎下腺には検出できなかった。しかし, Met-エンケフェリン陽性物質は, β-エンドルフィンと異なり, 導管系周囲の神経にも局在していた。この実験から, クロモグラニンAは, クロモグラニンBとは異なり, 特に顎下腺の生理活性物質を産生する導管系の細胞を鑑別する手段に用いることができると思われた。