1989 年 31 巻 6 号 p. 647-655
Bacteroides gingivalis菌体からRantz & Randallの方法によりオートクレーブ抽出した抗原を用いて, B. gingivalisの血清学的分類を行うとともに, 抗原物質を分離精製しその化学組成について検討した。
教室保存の15株のAE標品と, 各抗血清とのゲル内沈降反応により抗原性の異なる2つのserogroup, すなわちB. gingivalis 381, ATCC33277, Su60, Eso164を含む11株がグループA, Su63, YK2を含む4株がグループBに分類された。
B. gingivalis 381 (Aグループ) およびSu63 (Bグループ) からそれぞれのグループ特異抗原の分離精製を試みた結果, 両グループ抗原ともに75%エタノール沈渣に認められ, 陰イオン交換クロマトグラフィーにおいては, 非吸着画分であるピーク1に溶出された。グループ特異抗原の化学分析の結果から, 多糖抗原である可能性が示唆され, その糖組成はB. gingivalis 381から分離したグループA抗原はグルコースが主体で微量のラムノース, ガラクトース, マンノース, グルコサミンおよびガラクトサミンを含んでおり, Su63からのグループB抗原からはグルコース, ガラクトース, ラムノース, グルコサミンおよびガラクトサミンと極くわずかのマンノースが検出された。