歯科基礎医学会雑誌
Print ISSN : 0385-0137
Structure and mineral content of human exposed cementum and changes following phosphoric acid etching
Mie KuroiwaTetsuo KodakaKazuhiro DebariFumikazu NakajimaShohei Higashi
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1990 年 32 巻 2 号 p. 180-189

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抄録

口腔内へ露出したヒト歯頸部セメント質の構造と組成, および酸腐蝕後の変化をSEM, EDX, WDX, 原子吸光を用いて検索した。露出セメント質のCa, P濃度およびCa/P比は, 非露出セメント質より有意に高い値を示した。しかし, 酸腐出によって溶出するCaの量は, 露出セメント質の方が少ない傾向がみられたが, 有意性はみられなかった。その結果, 溶出するCaの量は, 石灰化量よりもセメント質の基質線維の量に影響されることが推察された。酸で腐蝕した露出セメント質の表面は, 非露出セメント質と比べ, 明瞭なセメント質シャーピー線維の断端が観察された。しかし, その表面はフエルト状の有機性薄膜からなり, 内部は完全に脱灰された表層下の2層に区別された。近年おこなわれている酸腐蝕ボンディンダ法において, 酸腐蝕後, 引き続き露出セメント質の脱灰層を機械的に除去すれば, レジンは部分的に脱灰された層に浸透し, タグが形成される可能性がある。

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© Japanese Association for Oral Biology
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