抄録
骨形成蛋白 (BMP) による異所性の軟骨・骨形成過程を光顕, 電顕にてその微細構造を経時的に観察した。牛骨から抽出したBMPをゼラチンカプセルに封入しAKR系マウスの大腿部筋膜下に移植し, 5, 7, 10, 14, 21, 28日後に屠殺, 試料を採取した。移植5~7日目, 未分化な紡錘形細胞がBMP中に分裂像を伴って侵入増殖し, BMPと緊密なcontactを保ちながら軟骨細胞へと分化し, 均一な軟骨を形成した。その過程でBMPを細胞内に取り込む像も観察された。移植14日目, 胎生の骨原基におけると同様に軟骨内骨化と軟骨外骨化が観察された。軟骨内骨化の過程では軟骨細胞の肥大化と洞様血管の侵入に伴う骨芽細胞の分化による骨化過程を示し, 軟骨周辺域の骨化は同部と被包組織の移行域間細胞が骨芽細胞様に変化し, 移植21日目ではこの細胞が新生骨の皮質骨形成に関与した。新生骨内は骨芽細胞や骨細胞で裏装された骨梁を伴った海綿骨が形成され, 引き続き活発な骨髄の造成後, 28日目では骨梁は菲薄化し, 骨髄は大部分脂肪組織に変化した。