歯科基礎医学会雑誌
Print ISSN : 0385-0137
長管骨の成長板軟骨における軟骨組織の吸収に関する微細構造学的研究
佐々木 崇寿金 泰元
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1996 年 38 巻 4 号 p. 317-325

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抄録
長管骨の軟骨内骨化における軟骨と骨の置換過程を解明するため, 生後3週齢のビーグル犬をグルタールアルデヒドで灌流固定し, 上腕骨の成長板軟骨を微細構造学的に解析した。成長板軟骨の石灰化は縦中隔軟骨の中央部で生じ, 横中隔軟骨では起きなかった。軟骨小腔の開放は, 単核細胞による横中隔の除去によって行われた。単核細胞は, 粗面小胞体, ゴルジ装置, 高密度小体そして小型の空胞を含み, 横中隔に向け波状縁様の構造を形成した。縦中隔の軟骨小片の貧食は, 波状縁様の構造を欠く単核細胞によって行われた。開放された軟骨小腔中には骨芽細胞が侵入し, 残存した縦中隔上に1層の骨質を添加した。軟骨基質上の多核巨細胞は波状縁を欠き, 形態的極性を示すに至らなかったが, 軟骨基質上に骨質が添加されると波状縁と明帯を有する破骨細胞が出現し, 骨・石灰化軟骨の吸収像が観察された。以上の観察結果から, 軟骨内骨化における軟骨と骨の一連の置換過程において, 軟骨基質の吸収に関与する単核細胞の存在が示唆された。
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