歯科基礎医学会雑誌
Print ISSN : 0385-0137
38 巻, 4 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • Hideki Mizutani, Hisashi Hattori, Kazuki Yasue, Katsuhiro Senga, Michi ...
    1996 年 38 巻 4 号 p. 309-316
    発行日: 1996/08/20
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    肥大軟骨細胞は死滅する運命とされているが, 一部の細胞は生き残って骨様の基質を形成するとされている。
    骨形成蛋白質により誘導された軟骨組織中の肥大軟骨細胞を光顕, 電顕および免疫電顕的に観察した。
    骨形成蛋白質は牛骨から抽出し部分精製したものを, マウス大腿部筋膜下に移植し, 14日後に組織を採取した。
    周囲を軟骨基質に囲まれた肥大軟骨細胞の一部は明らかに細胞構造が保たれており, それら細胞の周囲にI型コラーゲンの存在が免疫組織化学的に証明された。また, 同部の電顕所見でもD周期を有する線維が確認された。
    以上から, 骨形成因子により誘導された肥大軟骨細胞の一部は生き残り, 骨様基質の形成に関与することが示唆された。
  • 佐々木 崇寿, 金 泰元
    1996 年 38 巻 4 号 p. 317-325
    発行日: 1996/08/20
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    長管骨の軟骨内骨化における軟骨と骨の置換過程を解明するため, 生後3週齢のビーグル犬をグルタールアルデヒドで灌流固定し, 上腕骨の成長板軟骨を微細構造学的に解析した。成長板軟骨の石灰化は縦中隔軟骨の中央部で生じ, 横中隔軟骨では起きなかった。軟骨小腔の開放は, 単核細胞による横中隔の除去によって行われた。単核細胞は, 粗面小胞体, ゴルジ装置, 高密度小体そして小型の空胞を含み, 横中隔に向け波状縁様の構造を形成した。縦中隔の軟骨小片の貧食は, 波状縁様の構造を欠く単核細胞によって行われた。開放された軟骨小腔中には骨芽細胞が侵入し, 残存した縦中隔上に1層の骨質を添加した。軟骨基質上の多核巨細胞は波状縁を欠き, 形態的極性を示すに至らなかったが, 軟骨基質上に骨質が添加されると波状縁と明帯を有する破骨細胞が出現し, 骨・石灰化軟骨の吸収像が観察された。以上の観察結果から, 軟骨内骨化における軟骨と骨の一連の置換過程において, 軟骨基質の吸収に関与する単核細胞の存在が示唆された。
  • Masashi Kurahashi, Koshiro Inomata
    1996 年 38 巻 4 号 p. 326-334
    発行日: 1996/08/20
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    胆管結紮によって膵炎を誘発させたラットを用い, 摂食時の耳下腺および膵から胃腸管内へのアミラーゼ分泌およびこれらのアミラーゼによるデンプン消化について検討した。膵炎は絶食時の耳下腺アミラーゼ活性を増加させた。摂食後の胃内容中全アミラーゼ活性は, 対照ラットに比較し膵炎ラットにおいて高い傾向にあり, 両群ともに胃において摂食したデンプンの約3分の1が消化された。膵炎ラットでは, 膵からのアミラーゼ分泌が著明に減少し, 摂食刺激時の小腸および腸内容アミラーゼ活性は対照群の約3%であり, その活性は主として耳下腺型であった。しかしながら, 残存するデンプンの割合は固形飼料中の86.8%から, 小腸内では21.4%に減少していた。これらの結果から, 膵炎ラットでは, 耳下腺から分泌し, 胃から小腸へ移動した耳下腺型アミラーゼが, 胃腸管におけるデンプン消化に生理的な役割を果たしていることが示唆された。
  • Masashi Kurahashi, Koshiro Inomata
    1996 年 38 巻 4 号 p. 335-344
    発行日: 1996/08/20
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    胆汁分泌不全を伴わない膵外分泌不全ラットを用い, 摂食時の耳下腺および膵から胃腸管内へのアミラーゼ分泌およびこれらのアミラーゼによるデンプン消化について検討した。絶食時の耳下腺アミラーゼ活性および摂食後の胃内容中アミラーゼ活性は膵外分泌不全群と対照群との間に差はなかった。膵外分泌不全ラットでは膵からのアミラーゼ分泌は著明に減少しており, 摂食後の膵外分泌不全群の小腸および腸内容アミラーゼ活性の大部分は耳下腺型であった。しかしながら, 残存するデンプンの割合は固形飼料中の86.8%から, 小腸内では12.0%に減少していた。これらの結果から, 膵アミラーゼ分泌の減少したラットの胃腸管内における耳下腺アミラーゼの生理作用発現の条件として, 耳下腺アミラーゼ活性の増加は必須ではなく, 膵炎ラット同様に膵外分泌不全ラットにおいても, 耳下腺アミラーゼが摂食中の胃腸管における主要なデンプン消化酵素であることが示唆された。
  • Akira Yamane, Tadayoshi Fukui, Mototsugu Chiba
    1996 年 38 巻 4 号 p. 345-353
    発行日: 1996/08/20
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    摘出したラット下顎第一および第二臼歯間にゴムバンドを挿入し20時間にわたり, またバンド除去後10時間にわたり, 臼歯の三次元的な運動をコマ撮りビデオと軟X線写真撮影法を用いて解析した。バンド挿入後, 第一臼歯は近心一舌側方向へ移動し, 第二臼歯は遠心一頬側方向へ移動した。バンド挿入後1時間内に歯間離開距離の最も大きな増大が観察された。バンド除去後, この距離は急激に減少したが, 実験終了時においても, 完全にはもとに戻らなかった。軟X線写真撮影法を用いた観察より, バンド挿入後第一臼歯は近心方向へ傾斜運動すること, また, 第二臼歯は遠心方向への傾斜運動に加えて, 上昇運動することが示された。これらの結果から, このような歯の動きは, 主として, 外力に対する歯根膜の機械的反応による可能性が示唆された。本方法は比較的簡単であり, 様々な実験条件下における臼歯の三次元的な運動を解析するために有用と考えられる。
  • Masatsugu Yamamura, Shojiro Asai, Shigekazu Tsurubou, Isamu Namikawa
    1996 年 38 巻 4 号 p. 354-362
    発行日: 1996/08/20
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    口腔細菌による金属イオンの吸着を, 二つの重金属, 水銀および銅についてpH4.0と7.0域で調べた。しかしながら, 二つの金属のうち, 水銀イオンは, 中性およびアルカリ域では, 蒸発や容器壁への吸着のためイオンの損失が起こるので, pH4.0で吸着率を検討した。
    高い水銀イオン吸着を示した菌種は, pH4.0域の際に, 供試菌の内で, Propionibacterium acnes, TreponemadenticolaおよびEikenella corrodensであった。銅イオンの吸着については, pH4.0と7.0域において, P. acnes, Peptostreptococcus anaerobiusおよびCoryneba6cerium matruchotiiが高い吸着を示した。
    これらの口腔細菌の金属イオン吸着能は, 同じ金属イオン濃度では, 従来ウラン等を高率に吸着すると報告されているActinomyces levorisぱりも高い値を示した。また, 100度で10分間加熱処理した凍結乾燥菌体への銅イオンの吸着は, 無処理の菌体と比較して, 著しい差異を示さなかった。
    また, 細菌への金属イオン吸着は, 金属イオンの添加直後に起こり, 5分後にはプラトに達した。
    得られた成績は, いくつかの口腔細菌が金属イオンの高い吸着能を有すること, また, これらの吸着現象は, Freundlichの吸着等温式に従っていることからも物理化学的作用によると考えられる。
  • Ken-ichi Miyauchi, Yasuko Kobayashi, Ryoyu Shimano
    1996 年 38 巻 4 号 p. 363-365
    発行日: 1996/08/20
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
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