歯科基礎医学会雑誌
Print ISSN : 0385-0137
フッ化物処理ハイドロキシアパタイト表面へのタンパク質吸着とそのぬれ性状
阪本 充川崎 弘二神原 正樹
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1999 年 41 巻 2 号 p. 113-120

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抄録

液膜落下法は固体に吸着したタンパク質を乾燥させることなく, 吸着タンパク質表面のぬれ性状の測定が可能である (特許第2782502号)。しかし, 従来の液膜落下法は光を透過する固体のみ吸着媒として使用可能であった。そこで液膜落下法を改良し, 光不透過の酸性フッ素リン酸 (APF) 溶液処理ハイドロキシアパタイト (HAp) 上に吸着したヒト血清アルブミン (HSA) 表面のぬれ性状の違いを検討した。改良液膜落下法により, 光不透過の固体においても吸着タンパク質表面のぬれ性状の測定が可能であり, 高濃度HSA水溶液に浸漬した場合, HAp吸着HSA表面は, APF溶液処理濃度に関わらず親水性であることがわかった。低濃度HSA水溶液に浸漬した場合, APF溶液処理濃度によりHAp吸着HSA表面のぬれ性状は異なる変化をすることが明らかとなった。また, この方法によりAPF溶液処理の違いによって, HSAが固体表面に吸着した後に起こるコンホメーション変化を観察できることがわかった。

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