抄録
本論文では、ジョブ数、機械台数が任意で追抜禁止のフロ一・ショップ・スケジューリングにおいて、重みつき平均滞留時問最小化問題を取り扱っている。一般に、スケジューリングの対象となるジョブには、納期重での余裕時間や、仕掛在庫コストなどの大小によって、重要祝されるものとそれほど重要視されないものとがある。そこで、各ジョブの重要度に応じた「重み」を付与したモデルを設定し、重みの大きなジョブには高い優先度を与えるという重みつき平均滞留時間を評価尺度に取り上げる。隣接2ジョブ交換法による解析で、隣接ジョブの先行関係を決定するための次のような不等式を導いた[numerical formula]ジョブに関する推移性を満足するこれらの不等式に基づいて、重みつき平均滞留時問最小化のための近似アルゴリズムが提案されている。ジョブ数を4〜7、機械台数を4〜6に設定し、各ジョブの重みを1〜10、1〜40の一様乱数で与えた例題を160種類作成して、アルゴリズムの有効性を検証した。その結果、提案アルゴリズムで平均91、4%の近似率をもつ解を得ることができた。例題のジョブ数、機械台数拾よび重みの範囲は、近似率に影響を与えなかった。なお、求めた解が最適解にどの程度近いかを表すための近似率は、従来のものの問題点を指摘し、これに代わる新しい近似率を使用した。提案アルゴリズムで解を得るために必要在計算時間は、(ジョブ数)X(機械台数)^2に比例し、たとえば7ジョブ、6機械問題をTOSBAC-5600/120で解くのに0。25秒要した。また記憶容量は、実用的規模のスケジューリング問題を解く際の主要な制約とはならないことなどが判明した。