抄録
本論文は、部分的に冗長構成されたシステムのアベイラビリティについて論じたものである。部分的牝冗長構成されたシステムは、デュアル化された計算機システムあるいは予備の発電機を備えた発電システム等、実際に良く用いられるシステム構成法である。ここでは、2つの同一なサブシステムAが暖待機冗長システムを構成し、それがサブシステムBと直列に構成されているシステムを考える。このシステム構成では、サブシステムBがダウンするとシステムはダウンするが、サブシステムAが1合ダウンしてもシステムダウンとは在らない。従って、修理の際には、サブシステムBの修理を優先させる事が望ましい。このような修理方式としては、サブシステムBの修理に高い優先度を与えた割り込み優先回復修理方式が考えられる。この修理方式は、サブシステムAの修理中にサブシステムBが故障したならば、サブシステムAの修理を中断してサブシステムBの修理を開始する。サブツステムBの修理が終了すると、サブシステムAの修理を中断された時点から再開するという修理方式である。この修理方式では、修理の割り込みの際に、割り込みの為の時間(以後、割り込み処理時間と呼ぶ)を必要とする場合がある。割り込み処理時間が長くなるに従ってシステムアベイラビリティは低下する為、この時間の長さ如何によっては、到着順に修理した方が高いアベイラビリティが得られる場合も考えられる。ここで、割り込み優先回復修理方式g方が到着順修理方式よりも高いアベイラビリティを得る事のできる最長の割り込み処理時間を割り込み許容時間と呼ぶ事にする。割り込み許容時間は長ければ長い程、割り込み優先回復修理方式を導入する事によるアベイラビリティの増加が大であると考える事ができる。従って、割り込み許容時間は、割り込み優先回復修理方式の有効性を表す一つの尺度であると考えられる。本論文では、まず、割り込み優先回復修理方式と到着順修理方式の2つの修理方式の各々に対してアベイラビリティを求めた。次に、その結果を用いて割り込み許容時間を求め、割り込み言午容時間に関する次の3つの性質を導いた。1。割り込み許容時間は、2つのサブシステムAより構成される暖待機冗長システムの冗長度が減少するに従って長くなる。2。割り込み許容時間は、サブシステムAの平均修理時間に関して単調減少関数である。3。割り込み許容時間は、サブシステムAの修理時間の分散に関して単調増加関数である。