抄録
コンピュータ・システムの高信頼化の問題は非常に重要である。特に今日の産業1経済・社会の各活動の多くが、コンピュータ・システムの存在の上に組織化され、運用されていることを考えると、その重要性は、今後ますます増大するものと考えられる。この論文では、コンピュータ・システムの保守・点検の問題に注目し、定期点検を実施したときの信頼性向上の問題について考察する。すなわち、コンピュータ・システムに拾ける本体系装置の、ある構成要素が故障したとき、それが、ある確率に従って直接システム故障になる場合と、ある時間遅れをもってシステム故障になる場合を考え、後者の故障を可能な限り早く発見するために、定期点検政策を導入したモデルを設定する。そのとき、マルコフ再生過程の手法を用いて、システムの定常アベイラビリティや、さらに点検費用・修理費用を導入し、単位時問当りの期待費用を最小とする最適点検政策を議論する。また、最後に数値例を示す。