日本オペレーションズ・リサーチ学会論文誌
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リコールつき資産売却問題
新海 哲哉
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1987 年 30 巻 1 号 p. 27-40

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抄録

Rosenfieldほか〔3〕は、資産の管理費用(資産を売却しないときにかかる)が定数値であるような定常的資産売却モデルの最適政策が保留政策( reservation policy)となるための条件を与えた。また、沢木・西田〔5〕は資産売却問題と類似したフレームワークを持つ問題である、動的職捜しモデルにおいて、探索費用が時間と状態の両方に依存し、また状態がマルコフ連鎖に従って変動するケースを考え、有限期間での最適探索戦略が留保戦略になるための条件を与えた。しかしながら、〔5〕では賃金オファーのリコール(今までに与えられたオファーの最高値を受け入れること)が許される場合について議論されていない。本稿では、資産の管理費用が状態と時間に依存し、かつ状態がマルコフ連鎖に従って変動し、さらに買い値のオファーのリコールが許される(今までの買い値の最大値で資産売却ができる)資産売却問題を考え、〔5〕と同様の仮定のもとで、最適留保政策が存在することを厳密に証明し、その数値例を与えた。加えて、推移確率分布の改良および買い値のオファーの分布の分散(不確実性の一尺度)の増加が、最適値を増加させることを証明した。

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© 1987 日本オペレーションズ・リサーチ学会
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