日本視能訓練士協会誌
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一般講演
特発性黄斑円孔における円孔径、円孔底径の計測精度についての検討
金永 圭祐藤原 篤之坂手 澪後藤 保人稲垣 明日香白神 史雄
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2016 年 45 巻 p. 71-77

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抄録

【目的】黄斑円孔において術前の円孔径、円孔底径を計測する事は術後の視機能を予測するうえで重要な因子とされている。今回、2種類の光干渉断層計(OCT)を用いて円孔径、円孔底径の計測精度を評価するとともに、計測に影響を与える因子について検討した。

【方法】対象は平均年齢67.3±5.1歳の黄斑円孔20例20眼とした。OCTはDeep range imaging OCT(DRI、TOPCON社)、Spectralis OCT(HRA、Hidelberg社)を用いた。各機器で同一眼の水平断層像を撮影し、3名の検者によりキャリパーを用いて3回の円孔径、円孔底径の計測を行った。解析はχ2検定により検者間計測誤差を検討した。また円孔径、円孔底径の計測に影響を与える因子(年齢、等価球面度数、眼軸長)について重回帰分析により検討した。

【結果】DRIで評価した円孔径の検者間計測誤差に差はなかった(P = 0.64)。また円孔底径の検者間計測誤差にも差はなかった(P = 0.79)。HRAで評価した円孔径の検者間計測誤差に差はなかった(P = 0.93)。また円孔底径の検者間計測誤差にも差はなかった(P = 0.51)。さらに円孔径、円孔底径の計測に影響を及ぼす因子はなかった。

【結論】円孔径、円孔底径計測における検者間誤差はなく、キャリパーによる計測精度は高い再現性を示した。また円孔径、円孔底径の計測に影響を与える明らかな因子はなかった。

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© 2016 公益社団法人 日本視能訓練士協会
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