日本視能訓練士協会誌
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最新号
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第60回 日本視能矯正学会
シンポジウム
  • 藤村 芙佐子
    2020 年 49 巻 p. 1-6
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/02/06
    ジャーナル フリー

     近年、世界中で近視の増加傾向が報告されている。本邦においても成人のみならず小児の裸眼視力1.0未満の割合の増加が報告され、近視の増加が懸念されている。本邦における学校保健による健康診断のシステムは小児の正常な視機能の獲得および最適な学習環境保持のために重要な役割を果たしている。学校健康診断における視力検査や現状について紹介する。

  • 五十嵐 多恵
    2020 年 49 巻 p. 7-12
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/02/06
    ジャーナル フリー

     近視は、遺伝要因と環境要因の相互作用が原因となり発症し進行する。近代化に伴う環境変化によって小児の近視患者が急増加する一方で、近視が強度で病的であるほどMendel遺伝疾患や稀な影響力の大きい遺伝子変異が関与する傾向が知られており、幼少期からの強度近視患者には、遺伝要因が近視の発症と進行の主因と考えられる患者の割合が高い。近年は学童近視に対しては近視進行予防治療が行われ、単一遺伝性の網膜疾患に対しては遺伝子治療が行われるようになった。今後、近視診療従事者は、個々の近視患者の発症と進行の原因を正しく理解し、適切な医療情報の提示を行うことが重要になると予測される。また病的近視患者の視機能を生涯に渡り良好に維持するためには、小児期の早期に病的患者を同定し、適切な合併症管理に結びつけることが重要である。眼底写真で視神経乳頭周囲のびまん性萎縮の形成を確認するとともに、脈絡膜厚をモニタリングすることや、広角OCTを用いて後部ぶどう腫の初期病変を同定することは、早期診断のための有用な指標と考えらえる。

  • 岡 真由美, 星原 徳子, 河原 正明
    2020 年 49 巻 p. 13-20
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/02/06
    ジャーナル フリー

     超高齢社会において、加齢性斜視であるsagging eye syndrome(以下SES)が注目されている。本研究では、SESの鑑別疾患としてあげられる眼球運動神経麻痺との相違を検討し、画像診断の前に視能訓練士が行うべき病態分析と視能評価について述べた。

    1.年齢区分別の斜視の種類

     年齢区分が高くなるほど共同性斜視が減少し、非共同性斜視(眼球運動障害を伴う斜視とする)が増加した。非共同性斜視のうち、年齢区分が高くなるにつれて増加傾向にあったのは滑車神経麻痺、SES、Parkinson 病関連疾患であった。

    2.SESと眼球運動神経麻痺における複視の発症様式

     SESは滑車神経麻痺および外転神経麻痺よりも発症から初診までの期間が長く、複視の発症日が不明確であった。

    3.SESと眼球運動神経麻痺の眼位・眼球運動

     内斜視を伴うSES は外転神経麻痺よりも斜視角が小さく、わずかな上斜視および回旋偏位を伴っていた。上斜視を伴うSESは下転眼に外回旋がみられた。滑車神経麻痺では健眼固視のとき外回旋が上転眼にみられたが、麻痺眼固視のとき一定の傾向がなく、両者を回旋眼で評価することは困難であることがわった。

     高齢者の斜視ではSESおよびその合併例が多い。SESと眼球運動神経麻痺との区別は困難であることから、病歴聴取と患者の観察、回旋偏位の検出が有用であり、むき運動検査と合わせて総合的に評価することが重要である。

一般講演
  • 茅野 翔悟, 小島 隆司, 宇陀 恵子, 酒井 幸弘, 加藤 幸仁, 三田村 麻里, 内藤 尚久, 玉置 明野, 市川 一夫
    2020 年 49 巻 p. 21-30
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/02/06
    ジャーナル フリー

    【目的】眼内レンズ(以下IOL)面で1.5Dと3.0Dの加入がある焦点深度拡張3焦点IOL AcrivaUD Reviol Tri-ED611 611T(VSY Biotechnology社)と、IOL面で2.5D加入がある2焦点IOL SV25Tx(Alcon社)の術後成績を比較した。

    【対象及び方法】対象は白内障手術を施行しAcrivaUD Reviol Tri-ED611 611Tを挿入した20例20眼(平均年齢60.9±9.7歳;以下T群)とSV25Txを挿入した 18例18眼(平均年齢61.8±9.3歳;以下S群)。術後3ヵ月以上経過観察できた症例の裸眼および遠見矯正下視力(5m、70cm、40cm)、術後等価球面度数、焦点深度曲線、コントラスト感度、ハロー・グレア、術後アンケートを後ろ向きに検討した。

    【結果】遠見矯正下視力(5m)はS群が有意に良好で、中間・近見視力は裸眼・遠見矯正下視力(70cm、40cm)ともにT群が有意に良好であった。焦点深度曲線は中間、近見でT群が有意に良好であった。ハロー・グレアは両群に有意差はなかったが、S群のほうがT群よりハローの程度が軽度な傾向がみられた。

    【結論】T群は、S群と比較して良好な中間、近見視力を獲得できていたが、S群の方が夜間視の問題が少なかった。患者のライフスタイルに応じた使い分けが必要である。

  • 余田 千恵, 酒井 幸弘, 小島 隆司, 玉置 明野, 加藤 幸仁, 宇陀 恵子, 茅野 翔悟, 山本 真菜, 内藤 尚久, 市川 一夫
    2020 年 49 巻 p. 31-38
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/02/06
    ジャーナル フリー

    【目的】前眼部OCTの角膜前後面実測値(Real)とIOLMaster®700のTotal Keratometry(以下TK)によるトーリック眼内レンズ(以下T-IOL)の乱視矯正効果の比較。

    【対象及び方法】対象はT-IOLを挿入した倒乱視30眼、直乱視19眼とした。T-IOLのモデル計算は、RealはHolladayⅠ式、TKはIOLMaster®700のBarrett TK toric式を用いた。RealとTKによる術前乱視量、術後乱視の予測誤差(挿入軸の差が5°以内)の、T-IOLのモデル選択の比較を行った。

    【結果】RealとTKの術前乱視量(平均±標準偏差)は、倒乱視が1.8±0.4D、2.1±0.4D(p < 0.0001)、直乱視が1.7±0.6D、2.1±0.9D(p = 0.0002)でTKが有意に大きかった。術後乱視の予測誤差は、倒乱視が0.4±0.3D、0.4±0.3D(p = 0.3632)、直乱視が0.3±0.2D、0.4±0.3D(p = 0.0570)で有意差はなかった。RealとTKによるT-IOL選択の比較は、倒乱視、直乱視でそれぞれ83%、75%が同じモデルが選択された。

    【結論】RealはHolladayⅠ式、TKはBarrett TK toric 式を用いることによって、挿入軸がほぼ同じ症例であった場合、予測誤差、モデル選択には影響しない。

  • 新井 慎司, 髙木 優里, 長谷岡 宗, 稲垣 理佐子, 飯森 宏仁, 鈴木 寛子, 古森 美和, 彦谷 明子, 堀田 喜裕, 佐藤 美保
    2020 年 49 巻 p. 39-44
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/02/06
    ジャーナル フリー

    【緒言】Spot Vision Screener(SVS)で異常が検出されなかったにもかかわらず手術を要した小児白内障の1例を報告する。

    【症例】4歳1か月男児。3歳児健康診査で右眼視力不良を指摘された。オートレフラクトメータでは乱視度数がばらつき、信頼係数が低下したが、SVSは基準範囲内だった。右眼視力は0.2で後嚢下白内障と後部円錐水晶体を認めた。角膜、眼底に異常はなかった。高次収差が大きく屈折矯正が困難なため、白内障手術を行った。術後の眼鏡処方と健眼遮閉で視力は(1.0)に向上した。

    【結論】3歳児健診で軽度白内障を発見するためにはSVSと従来の視力検査の併用が必要であることが再確認された。

  • 赤塚 美月, 中川 真紀, 臼井 千惠, 林 孝雄
    2020 年 49 巻 p. 45-49
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/02/06
    ジャーナル フリー

    【目的】急性内斜視を相次いで発症した2兄弟を報告する。

    【症例】兄弟1(一卵性双生児)兄:16歳発症。25⊿ET。1年前から近距離でスマートフォン(以下スマホ)使用。兄弟1弟:18歳発症(大学受験勉強中)。40⊿ET。兄弟2兄:15歳発症(高校受験勉強中)。60⊿ET。兄弟2弟:13歳発症。65⊿ET。1年前から近距離でスマホ使用。屈折異常は兄弟1正視、兄弟2近視。全例で遠・近見での眼位差なし。

    【結論】兄弟1兄と兄弟2弟は近距離のスマホ使用が、兄弟1弟と兄弟2兄は受験勉強(近業)が急性内斜視の発症誘因となった可能性があり、共通する遺伝要素を持つ兄弟でも発症に環境要因が影響することが示唆された。

  • 徳武 朋樹, 長谷部 佳世子, 今井 俊裕, 長田 祐佳, 長尾 祥奈, 新井 沙季, 孫 偉英, 小橋 理栄, 古瀨 尚, 長谷部 聡
    2020 年 49 巻 p. 51-56
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/02/06
    ジャーナル フリー

    【目的】術後成績による斜視角の経時的な変化量を比較し、予後に及ぼす因子について検討すること。

    【方法】片眼の水平筋前後転術を行い術後3年以上経過観察のできた手術時年齢15歳以下の間欠性外斜視57例中、再手術5例を除く52例を対象とした。術後36か月時の斜視角が15PDの外斜偏位~5PDの内斜偏位を良好群、その他を不良群とした。斜視角の変化量は、術後1週、1、3、6、12、24、36か月の各期間における遠見斜視角の差とした。また、予後に及ぼす因子について検討するため、両群間の臨床パラメータを比較した。

    【結果】術後1週の斜視角(平均±標準偏差)は、良好群+16.5±7.6PD、不良群+10.7±8.2PD(+は内斜偏位)で有意差がみられた。斜視角は両群とも全期間を通じて再外斜化を示し、斜視角の変化量は術後1週~1か月で大きく(良好群8.2±7.0PD、不良群6.0±4.7PD)、その後徐々に減少した。両群とも術後1週~1か月と1~3か月の間、1~3か月と3~6か月の間の変化量に有意差がみられたが、3~6か月以降の変化量に有意差はなかった。また、各期間において両群間の変化量に有意差はなかった。

    【結論】斜視角の経時的な変化量は術後3か月で比較的安定するものの3年間持続していた。術後成績による経時的な変化量に差はなく、3年目の術後成績は術直後の過矯正の程度に依存すると思われる。

  • 岸 大介, 正条 智広, 岸 哲志, 塚原 嘉之佑, 生方 北斗, 多々良 俊哉, 前田 史篤, 田淵 仁志
    2020 年 49 巻 p. 57-63
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/02/06
    ジャーナル フリー

    【目的】視能訓練士学生に対してロービジョン者の歩行困難の理解を促す手段としてシミュレーション体験を実施し、その有効性を検討した。

    【対象および方法】対象は47名の視能訓練士学生とした。学生にはロービジョン体験キットを装用させ、視野狭窄(求心性視野狭窄で中心5度)と視力低下(小数視力0.06程度)をシミュレーションした。歩行課題は屋外と屋内の単独歩行、そしてガイドヘルプを利用した屋外歩行とした。実施後には歩行中に感じた困難の程度を回答させた。

    【結果】単独の屋外歩行の視野狭窄の困難度(平均値±標準偏差 [中央値])は4.11±0.76 [4] で、視力低下の2.47±0.91 [2]より高値であった(p<0.01)。屋内歩行の視野狭窄は3.70±0.88 [4] で、視力低下の2.00±0.93 [2] より困難であった(p<0.01)。ガイドヘルプを利用した屋外歩行では視野狭窄で3.47±0.97 [4]、視力低下で2.11±1.01 [2] となり、単独歩行と比較して困難度が有意に軽減した(p<0.01)。

    【考按】視野狭窄による歩行困難度は視力低下よりも高かったが、これは実際のロービジョン者を対象とした他の研究と同様であった。学生は歩行困難を体験するとともに、ガイドヘルプを利用することで単独歩行よりも困難度が軽減することを理解できた。シミュレーション体験は学生がロービジョンによる歩行困難を理解するのに有用であった。

  • 杉岡 勇希, 横山 翔, 玉置 明野, 松田 泰輔, 加賀 達志
    2020 年 49 巻 p. 65-71
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/02/06
    ジャーナル フリー

    【目的】中心窩剥離を伴う裂孔原性網膜剥離(RRD)の網膜感度、変視量を含めた硝子体手術後の視機能を経時的に評価する。

    【対象および方法】2018年8月から2019年2月に中心窩剥離を伴うRRDに対して硝子体手術を施行し網膜復位が得られた14例15眼(55.2±11.2歳)を後ろ向きに検討した。術前および術後3ヶ月と6ヶ月の矯正視力、術後3ヶ月と6ヶ月の中心20°内33点の網膜感度、および垂直、水平方向の変視量について解析を行った。

    【結果】矯正視力(logMAR)は術前、術後3ヶ月、6ヶ月において、0.86±0.70、0.15±0.19、0.08±0.18(p<0.0001)であった。術後3ヶ月、6ヶ月において、網膜感度は26.17±1.00dB、26.48±1.33dB(p=0.2130)であった。変視量は垂直方向で0.48±0.42°、0.49±0.41°(p=0.9434)、水平方向で0.38±0.31°、0.44±0.47°(p=0.9766)であった。視力は術前と比較して、術後3ヶ月、6ヶ月ともに有意に改善した(p<0.05)。術後3ヶ月と6ヶ月では、視力、網膜感度、変視量に統計学的な有意差は認めなかった。

    【結論】網膜復位が得られた中心窩剥離を伴うRRDの術後3ヶ月と6ヶ月を比較すると、視力、網膜感度、変視量に差はなかった。

  • 白井 優太, 西田 知也, 洞井 里絵, 小島 隆司, 渡部 環, 佐藤 裕之, 佐藤 裕也
    2020 年 49 巻 p. 73-79
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/02/06
    ジャーナル フリー

    【目的】角膜クロスリンキング(Corneal crosslinking, CXL)術後1年間で円錐角膜の進行、非進行例の比較検討。

    【対象及び方法】佐藤裕也眼科医院、名古屋アイクリニックにて進行性円錐角膜眼にCXLを施行し、術後1年経過した74名100眼(男性58名、女性16名)平均年齢22.1歳(12~51歳)を対象とし、平均角膜屈折力が1D以上増加した群を進行群、増加しなかった群を非進行群とした。前眼部光干渉断層計(CASIA、CASIA2、TOMEY社)を用いて、Root Mean Square of Corneal Elevation(4mm)(RMSE)、Center Surround Index of Corneal Thickness(CSIT)、Coefficient of Variation of Corneal Thickness(4mm)(CVT)を比較検討した。統計解析はMann Whitney検定を用い有意水準を5%未満とした。

    【結果】進行群6名6眼(6%)、非進行群72名94眼(94%)となり、2群間にRMSE(4mm)(p=0.1866)、CSIT(p=0.1651)、CVT(4mm)(p=0.1386)の有意差は認めなかった。

    【結論】CXL後の進行群と非進行群に明確な差は認めなかったが、進行群はより重症例である傾向を認めた。

  • 金本 菜都美, 菅澤 淳, 松尾 純子, 戸成 匡宏, 西川 優子, 濵村 美恵子, 中村 桂子, 稲泉 令巳子, 清水 みはる, 筒井 亜 ...
    2020 年 49 巻 p. 81-89
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/02/06
    ジャーナル フリー

    【目的】2018年7月に改訂された視覚障害認定基準で、ゴールドマン視野(GP)検査とハンフリー視野(HFA)検査の結果を基に等級を判定し比較検討する。

    【対象及び方法】対象は、大阪医科大学附属病院眼科にて経過観察中で視野障害を有し、身障手帳の取得・再認定のために2018年4月~2019年5月にGP検査とHFA検査を行った120名。各症例をGPとHFAで等級が一致した群、GPで等級が重い群、HFAで等級が重い群の3群に分け、それぞれの特徴を検討した。

    【結果】全体ではGPで判定した等級とHFAで判定した等級に有意差は認められなかった(p=0.065、Wilcoxon符号付き順位検定)。GPとHFAで等級が一致したA群:79例66%、GPで等級が重いB群:12例10%、HFAで等級が重いC群:29例24%であった。2級と5級のような大きな乖離が見られたのは、B群で9例、C群で13例であった。GPで等級が重い群は、中心視野がⅠ/4で両眼80度以内に狭窄しており周辺にも残存している例であった。HFAで等級が重い群は、垂直同名半盲例や、片眼でも中心の視野角度がⅠ/4で80度を超えてしまうが全体的に狭窄している例であった。

    【結論】GPとHFAで等級が一致するものが多かったが、等級が異なる例も見られたことから、判定に際しては個々の症例の生活の不自由度を配慮し、より適切な方法を選択することが望ましい。

    図3:等級の分布 Fullsize Image
  • 中込 亮太, 松岡 久美子, 臼井 千惠, 加藤 可奈子, 林 孝雄
    2020 年 49 巻 p. 91-96
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/02/06
    ジャーナル フリー

    【目的】シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ(シリコーンCL)が角膜内皮細胞の形態に及ぼす影響を検討した。

    【対象と方法】対象は、屈折異常以外の眼疾患がない若年健常者136名136眼とした。従来のソフトコンタクトレンズ(ハイドロゲルCL)のみを使用していた46名46眼をハイドロゲルCL群, シリコーンCLのみを使用していた29名29眼をシリコーンCL群、コンタクトレンズの使用経験がない61名61眼をコントロール群とした。角膜内皮細胞はスペキュラーマイクロスコープSP3000P(TOPCON)を用いて撮影し、角膜内皮細胞密度(CD)、変動係数(CV値)、平均細胞面積(AVG)、六角形細胞出現率(6A)、角膜厚を比較した。測定に先立ち、ソフトコンタクトレンズ(SCL)の装用年数、1週間及び1日の装用時間、SCLの屈折度数についてアンケート調査を行った。統計はMann-Whitney U 検定及びSteel-Dwass 法を用いた。

    【結果】SCLの装用年数、1週間及び1日の装用時間、SCLの屈折度数に有意差はなかった 。角膜内皮細胞ではCD、AVG、角膜厚において各群間に有意差はなかったが、CV値、6AはハイドロゲルCL群で有意に悪化した(P <0.05)。

    【結論】シリコーンCLは従来のハイドロゲルCLよりも角膜内皮細胞の形態変化が少ないことが示唆された。

  • 佐々木 由佳, 仲村 永江, 宮田 律子, 御田村 睦, 馬服 つかさ, 河本 絢香, 岡垣 あき, 藤定 恵美, 山田 晴彦
    2020 年 49 巻 p. 97-103
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/02/06
    ジャーナル フリー

    【目的】低加入度数分節眼内レンズ(レンティスコンフォート®)挿入眼に対し、両眼および単眼の距離別裸眼視力を測定しその視力特性について検討した。また単焦点眼内レンズ(以下IOL)挿入眼と多焦点IOL挿入眼との臨床成績を比較し有用性について検討した。

    【対象及び方法】対象は2016年3月から2019年8月まで関西医科大学附属病院にて白内障手術を施行しレンティスコンフォート®を挿入した症例(LC群)14名20眼、単焦点IOLを挿入した症例(単焦点IOL群)77名99眼、ZMA00(AMO)を挿入した症例(多焦点IOL群)7名12眼。術後4.00m~0.32mまでの12段階の距離別裸眼視力(logMAR)を測定した。単眼視力は上記3群間で、両眼視力についてはLC群、単焦点IOL群の2群間で比較した。

    【結果】単眼、両眼共にLC群は全距離において単焦点IOL群の視力を上回った。LC群と単焦点IOL群間では0.50m、0.40m、0.32mで有意にLC群の視力が良好であった。単眼視力においてLC群は1.25mで最高の視力となった。0.40mでは0.39logMARと新聞等が読める視力を得られた。3群間において多焦点IOL群が0.40m以下で有意に視力良好であった。

    【結論】レンティスコンフォート®は単焦点IOLよりも近方まで明視域が拡大されることが示唆された。

  • 馬服 つかさ, 仲村 永江, 宮田 律子, 佐々木 由佳, 御田村 睦, 河本 絢香, 岡垣 あき, 山田 晴彦
    2020 年 49 巻 p. 105-111
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/02/06
    ジャーナル フリー

    【目的】単焦点眼内レンズを挿入した患者(以下、IOL眼)でも術後眼鏡装用なしで満足の得られる症例があることから、IOL眼における眼鏡不要者の特性を調査した。

    【対象及び方法】2017年3月から2018年7月までに関西医科大学附属病院で両眼の白内障手術を施行した症例のうち、白内障以外の眼疾患を有しない129名(平均年齢74.0±8.2歳)に対し眼鏡使用について調査した。眼鏡使用状況から不要群(34名、26%)、遠用眼鏡群(29名、22%)、近用眼鏡群(66名、51%)とし、屈折、視力、眼軸長、瞳孔径、眼鏡使用歴について比較検討を行った。なお術後遠近両用眼鏡使用者は除外した。

    【結果】術後等価球面値(以下、SE)の中央値は不要群-0.56D、遠用眼鏡群-3.13D、近用眼鏡群-0.13Dであった。術後両眼開放裸眼視力は5mで近用眼鏡群が有意に良好で、32cmでは遠用眼鏡群が有意に良好であった。眼軸長は遠用眼鏡群が他群と比較して有意に長眼軸であった。術前の眼鏡使用状況については不要群で術前眼鏡不使用者が有意に多かった。(p<0.01)

    【結論】IOL眼で眼鏡不要であった症例は、両眼ともに術後SE-0.50D~-1.00D以内の軽度近視で術前に眼鏡不使用であった患者が多かった。

  • 坪井 良恭, 野原 尚美, 丹沢 慶一, 野原 貴裕, 菅原 芙美, 説田 雅典, 山田 博基
    2020 年 49 巻 p. 113-118
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/02/06
    ジャーナル フリー

    【目的】2018年、Spot™ Vision Screener(SVS)のソフトウェア改良により、20-100歳の年齢区分を選択すると測定可能な最小瞳孔径が3 mm(3 mmモード)となった。そこで我々は明室における、3 mmモードの有用性について検討した。

    【対象および方法】対象は4歳から11歳の28例56眼とした。SVSの測定は、明室と暗室において対象者の年齢に応じた3-19歳の年齢区分(4 mmモード)および20-100歳の年齢区分(明室3 mmモード)を用いて測定し、各条件での測定可能率を算出した。また、各条件での他覚的屈折値(球面および円柱度数)を据え置き式オートレフラクトメータ(KR8100PA)の測定値と比較した。

    【結果】測定可能率は明室4 mmモードで75%、明室3 mmモードで93%、暗室 4 mmモードで100%、KR8100PAで100%であった。明室4 mmモード、明室3 mmモードおよび暗室4 mmモードによる球面および円柱度数はKR8100PAによる球面および円柱度数と何れも有意差がなかった。さらに、明室4 mmモードで測定不能で明室3 mmモードで測定可能であった18%の対象眼において、明室3 mmモードおよび暗室4 mmモードによる球面および円柱度数をKR8100PAによる球面および円柱度数と比較すると、何れも有意差がなかった。

    【結論】明室において、3 mmモードの測定可能率は4 mmモードよりも高く、その測定値はKR8100PAの測定値と有意差がなかった。これらの事柄からSVSの測定時に暗室が使用できない場合や明室において4 mmモードで測定できない場合には、明室での3mmモードの使用が有用であると考えられた。

  • 岡野 真弓, 内川 義和, 田村 省悟, 齋藤 真之介, 新井田 孝裕
    2020 年 49 巻 p. 119-125
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/02/06
    ジャーナル フリー

    【目的】小学4・5年生における漢字書字に影響する視機能、視覚認知機能について検討した。

    【対象および方法】小学4・5年生70名を対象に、漢字書字課題および視機能、視覚認知機能の検査を行った。漢字書字課題には「小学生の読み書きスクリーニング検査(STRAW)」を用いた。視機能検査では、近見視力、屈折、調節効率、立体視、近見眼位、輻湊近点を測定した。視覚認知機能は7つの下位検査(視覚的弁別、視覚的記憶、視覚-空間関係、形態の恒常性、配列記憶、図地弁別、視覚的閉合)からなるTest of Visual Perceptual Skills-3rd Edition(以下TVPS-3)を用いて評価した。

    【結果】漢字書字成績と視機能、TVPS-3下位尺度得点との関連を検討した。その結果、漢字書字成績と近見視力、立体視およびTVPS-3の視覚的記憶、視覚-空間関係、図地弁別、視覚的閉合の下位尺度得点との間に有意な相関を認めた。漢字書字成績と有意な相関を示した視機能、TVPS-3の因子を独立変数、漢字書字成績を従属変数とした重回帰分析(ステップワイズ法)を行った。その結果、漢字書字成績の有意な予測変数として、近見視力と視覚的閉合が抽出された。

    【結論】小学4・5年生での漢字書字には、近見視力と視覚的閉合の双方が影響していることが示唆された。

  • 佐藤 千尋, 新田 美和, 笠井 彩香, 森 隆史, 橋本 禎子, 齋藤 章子, 石龍 鉄樹
    2020 年 49 巻 p. 127-135
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/02/06
    ジャーナル フリー

    【目的】遠視矯正眼鏡を装用している幼児の中心窩下脈絡膜厚と眼軸長の変化について調査したので報告する。

    【対象および方法】対象は弱視または内斜視に対する治療目的で、遠視または遠視性乱視の屈折矯正眼鏡を装用している幼児8名16眼。3歳時と6歳時に行った1%アトロピン点眼1日2回7日間の調節麻痺下屈折検査にあわせて、光干渉断層計により中心窩下脈絡膜厚を測定した。同時に光学的生体測定装置で眼軸長を測定した。

    【結果】等価球面屈折値は3歳時+3.76±2.05D(平均値±標準偏差)、6歳時+3.85±2.26D、中心窩下脈絡膜厚は3歳時435±43μm、6歳時442±55μm、眼軸長は3歳時21.05±0.58mm、6歳時21.61±0.65mmであった。10眼(63%)で脈絡膜厚が増加しており、そのうち9眼(57%)で眼軸の伸長を認めた。中心窩下脈絡膜厚の変化量と眼軸長の変化量に有意な負の相関が見られた。

    【考按】遠視の屈折矯正を行っている幼児の眼球では、約半数の眼球で脈絡膜厚の増加とともに眼軸の伸長がみられ、脈絡膜厚増加量が大きいほど眼軸伸長量は小さかった。完全屈折矯正眼鏡の装用により、遠視性デフォーカスを排除することで眼軸伸長が抑制され、脈絡膜厚は増加したと考えられる。

  • 水本 強一, 瓶井 資弘
    2020 年 49 巻 p. 137-146
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/02/06
    ジャーナル フリー

    【目的】光干渉断層血管撮影において、白内障手術前後の血管密度や中心窩無血管領域などのAngioAnalytics™の解析値を比較し、加齢白内障が解析値に及ぼす影響について検討する。

    【対象】愛知医科大学病院で同一術者にて白内障手術を受けた患者10名10眼。屈折異常と加齢白内障以外に眼疾患を認めず、撮影画質指標スコアが6以上で術後矯正視力が小数視力1.0以上の症例を対象とした。

    【方法】白内障手術前1ヶ月以内と術後1ヶ月に、RTVue XR Avanti™(Optovue, Inc.)を用いてRetina Angio 3×3mm スキャンパターンで連続3回測定したAngioAnalytics™の解析値を平均し、測定ゾーンごとに比較した。

    【結果】AngioAnalytics™の中心窩無血管領域関連インデックスでは有意差を認めなかった。表層網膜血管網の血管密度はPara-Fovea Temporalを除いて有意な上昇を認めた。深層網膜血管網の血管密度は、Para-Fovea Superiorを除いて有意差を認めなかった。

    【結論】表層網膜血管網の血管密度は、白内障手術によって有意な上昇がみられ、同一患者の経過観察において白内障手術前後での比較や、研究などで集団の平均を求める場合には留意を要することが示唆された。

  • 内川 義和, 岡 実乃里, 斎藤 千裕, 中田 莉奈, 村岡 七海, 岡野 真弓, 新井田 孝裕
    2020 年 49 巻 p. 147-154
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/02/06
    ジャーナル フリー

    【目的】眼球運動が静的立位時の姿勢制御に及ぼす影響を明らかにするため、静的立位時の衝動性眼球運動(以下SEM)および滑動性追従運動(以下、SPEM)負荷時の眼球運動と重心動揺を同時測定し、両者の関係について検討した。

    【対象および方法】健常成人15名(男性5名、女性10名、21.7±0.4歳、身長 1.64±0.09 m、BMI 20.4±0.66)を対象に、静的立位時における開眼、閉眼、10~30°のSEMおよびSPEM負荷条件での眼球電図を測定し、重心動揺の総軌跡長、Romberg率との関係について検討した。

    【結果】総軌跡長は、閉眼条件に比べ、開眼、SEM、SPEM条件で減少したが、SEMに比べSPEM条件で増加した。SPEM条件で重心動揺とSPEM振幅との間に関連を認めなかった。Romberg率とSEMおよびSPEM条件での総軌跡長との間に正の相関関係を認めた。性別、身体特性には関連を認めなかった。

    【結論】静的立位時のSPEM負荷は、SEM負荷に比べ重心動揺を増大させ、姿勢を不安定にさせることが示唆された。SPEMの姿勢不安定化効果は、SPEMにより生じるretinal flowの影響が推察された。

  • 坂本 正明, 杉谷 邦子, 橋口 絵里香, 鈴木 利根, 町田 繁樹
    2020 年 49 巻 p. 155-159
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/02/06
    ジャーナル フリー

    【目的】慢性期の急性内斜視に対し、眼鏡内組み込みプリズムで治療した2症例を報告する。

    【症例】症例1は14歳女子、半年前から遠見の複視を自覚した。眼位は遠見18⊿、近見16⊿の内斜視だった。複視が消失する12⊿base out(以下B.O.)(各6⊿)で組み込みプリズムを処方した。11カ月後、斜視角が減少していた為プリズム度数を6⊿B.O.(各3⊿)へ漸減し斜位を保っている。症例2は30歳女性、1年前から複視を自覚した。眼位は遠見50⊿、近見60⊿の内斜視だった。フレネル膜40⊿でプリズム治療を開始した。プリズム治療開始9ヶ月、16⊿ B.O.(各8⊿)の組み込みプリズムで斜位を保っている。

    【結論】慢性期の急性内斜視に対し、プリズム治療を行った。眼鏡内組み込みプリズムは、フレネル膜プリズムに比べて視機能低下や整容面の問題がない為に受け入れやすく、プリズム治療の継続が可能となった。

  • 山田 裕華, 生野 恭司
    2020 年 49 巻 p. 161-165
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/02/06
    ジャーナル フリー

    【目的】低濃度アトロピン点眼液は近視進行コントロール治療の中でも比較的心理的障壁が少なく導入しやすい。そのため日本でも多くの施設で導入されていると考えられる。今回、本研究の治療の1年間の成績を後ろ向きに調査し、近視進行の程度および諸因子の関連を検討した。

    【方法】対象は屈折異常以外に眼疾患のない健常学童50例100眼(男児25名、女児25名 平均10.74±5.26歳)である。0.01%アトロピン硫酸塩点眼液を1年間にわたり両眼に1日1回眠前に点眼させた。点眼開始後3ヶ月ごとに来院し、非調節麻痺下での他覚的屈折値と裸眼および矯正視力、6ヶ月毎に眼圧値、眼軸長を測定した。

    【結果】近視度数は1年で0.63±0.10 (平均±標準誤差、以下同じ)ジオプトリ(D)進行し(P<0.01)、眼軸長は0.39±0.03mm伸展(P<0.01)、眼圧は0.67±0.33mmHg下降した(P<0.05)。初診時の裸眼視力値が高いかもしくは近視度数が少ないほど、1年間で近視度数・眼軸長ともにより大きく進行もしくは伸展した(P<0.01)。

    【結論】本療法下でも有意に近視は進行し、進行の危険因子は初診の治療開始時点での軽度近視である。既報には眼圧は有意差を認めないとあるが本研究では認めた。

    【左上】初診時の裸眼視力と低濃度アトロピン点眼継続12ヶ月後に進行した近視度数の等価球面屈折値(SE)の関係性 縦軸に12ヶ月後の近視の進行度数のSE、横軸に初診時の裸眼logMARを示す。 初診時の裸眼視力と12ヶ月後のSEの2群間に有意な正の相関を認めた。 (P<0.01、R2=0.104、y=0.667x -1.162) 【右上】初診時と低濃度アトロピン点眼継続12ヶ月後の等価球面屈折値(SE)の比較 12ヶ月で近視は平均0.63D±0.10D進行した。(P<0.01、対応のあるt検定) 【左下】初診時と12ヶ月時の眼圧(IOP)の比較 眼圧は平均0.67±0.33mmHg下降した。(P<0.05、対応のあるt検定) 【右下】初診時と12ヶ月時の眼軸長(AL)の比較 眼軸は12ヶ月で平均0.39±0.03mm伸展した。(P<0.01、対応のあるt検定) Fullsize Image
  • 岡村 珠里, 中川 真紀, 臼井 千惠, 林 孝雄
    2020 年 49 巻 p. 167-177
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/02/06
    ジャーナル フリー

    【目的】我々は保育所に対して弱視訓練児の受入状況に関するアンケート調査を行い、医療者・保護者・保育所で患児の状況を共有することが大切であり、三者の連携体制づくりが必要であることを確認した。そこで今回は眼鏡装用(以下、眼鏡)または絆創膏式遮閉具による健眼遮閉や健眼アトロピン点眼療法による弱視訓練(以下、訓練)を受けている児の保護者に対して保育所・幼稚園(以下、園)の協力体制等に関する実態調査を行ったので報告する。

    【対象と方法】帝京大学医学部附属病院眼科視能矯正外来で眼鏡または訓練を指示された児を持つ保護者(眼鏡34名、訓練16名)に対して園での協力体制に関するアンケート調査をインタビュー形式で行った。

    【結果】眼鏡は全ての園で対応可能であったが、訓練は園での健眼遮閉の実施を断られた保護者が16名中1名(6.3%)にあった。園での眼鏡や訓練に関して園と保護者とで個別に約束事を交わしている保護者は眼鏡が34名中16名(47.1%)、訓練が11名中2名(18.2%)で、内容は眼鏡は運動時に外す、取扱は自己管理、眼鏡トラブルの責任を園は請け負わない等があり、訓練は実施中は別保育、低年齢児と一緒の保育は不可等であった。

    【結論】通園中の児に対して眼鏡処方や訓練を計画する際には園での協力体制について事前に把握しておく必要があり、医療側は園と保護者とのやりとりが円滑に行えるような配慮が大切と思われた。

第59回 日本視能矯正学会
一般講演
  • 御田村 睦, 仲村 永江, 宮田 律子, 佐々木 由佳, 馬服 つかさ, 山田 晴彦
    2020 年 49 巻 p. 179-186
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/02/06
    ジャーナル フリー

    【目的】白内障手術を施行し単焦点眼内レンズを挿入した症例に対して、眼鏡装用状況が日常生活満足度に与える影響を調査した。

    【対象及び方法】2017年3月~2018年7月までに当院で両眼の白内障手術を行った症例のうち、白内障以外の眼疾患を有しない146名(74.2±8.2歳)に対し、The 25-Item National Eye Institute Visual Function Questionnaire日本語版アンケート(以下VFQ-25)を使用し日常生活満足度を調査した。術後の眼鏡装用状況から、眼鏡不要群をA群、眼鏡必要だが非装用の群をB群、眼鏡装用群をC群とした。3群間で術前および術後のVFQ-25スコア、等価球面値(以下SE)、片眼裸眼・矯正視力(5m)、両眼裸眼視力(5m、50cm、32cm)について比較検討を行った。

    【結果】術後のVFQ-25の総合得点・遠見視力行動においてB群はA群より有意に低く、総合得点・近見視力行動でC群はA群より有意に低かった。術後の近方視時に使われるほうの眼のSEは、B群(SE=-1.06D)がC群(SE=-0.50D)より有意に近視寄りの度数であった(Steel-Dwass法、p<0.05)。

    【結論】白内障手術後に眼鏡必要だが非装用の者は、軽度の近視者で、遠用単焦点または遠近両用眼鏡を装用することにより満足度が向上すると考えられる。

    表1 術前後比較および3群間比較 Fullsize Image
    結果は年齢の項目のみ平均値±SD、それ以外の項目は中央値 (第1四分位点 - 第3四分位点)を示す。 視力はすべてlogMARとする。
投稿論文
  • 本居 快, 高橋 啓介, 杉浦 巧知, 服部 玲奈
    2020 年 49 巻 p. 187-192
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/02/06
    ジャーナル フリー

    【緒言】本研究では、文字呈示面を下方視に対応するx軸方向、あるいは側方視に対応するy軸方向に回転させ、文字列の行間隔および文字間隔の有無が文字読み取りに及ぼす効果について検討した。

    【対象および方法】視力1.0以上の視覚健常な3名を被験者とした。各被験者について測定した文字読み取り可能最大回転角度に及ぼす文字呈示面の回転軸(x軸あるいはy軸)、行間隔の有無、文字間隔の有無について3元配置分散分析モデル実験計画によって検討した。文字はすべてひらがな無意味綴りで、文字サイズは8.8 point、文字コントラストはMichelson contrast 98.8%であった。文字の配列はMNREAD-Jに準拠した。

    【結果】結果の分析は被験者ごとに行った。3名中2名の被験者においてy軸回転で文字間隔がないと、文字の読み取りが有意に不利になることが示された。残りの1名の被験者は、文字間隔、行間隔に関わらずx軸回転に比べてy軸回転で文字読み取りが不利になった。

    【考按】上記の結果は、1種のcrowding effectと捉えることもできるが、奥行き知覚などのより高次の処理が関与した視空間の異方性の現象であると考えることができる。

    図3 各実験条件における被験者ごとの平均読み取り可能最大回転角度(ヒゲは1sdを示す) Fullsize Image
  • 稲垣 尚恵
    2020 年 49 巻 p. 193-204
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/02/06
    ジャーナル フリー

    【目的】頭位の傾斜が縞視力に与える影響について眼球反対回旋(OCR)を考慮し検討した。

    【方法】対象は眼疾患や眼位眼球運動に異常がなく、乱視度数が0.75D未満、裸眼視力1.5以上の5名(平均年齢19.8±1.6歳)5眼。縞視力実験はコンピューター画面上にコントラスト90.6%の縞視標を呈示し、視標の傾斜検出の正答割合を求めた。測定条件は、空間周波数15、17、20、24、30、40、60 cpd、視標の傾斜は垂直0°、±45°、水平-90°、被験者の頭位の傾斜は垂直0°、±45°、水平-90°とした。OCRは、縞視力実験と同じ頭位条件で虹彩紋理を撮影し眼球の回旋角度を求めた。正答割合と回旋角度について分散分析を用いて検討した。

    【結果】(1)空間周波数24cpd以下では頭位の傾斜は視力値に影響しなかった。(2)空間周波数30、40cpdでは頭位0°条件においてoblique effectが見られた。(3)頭位-90°条件では、正答割合が他の条件に比べ低かった。(4)頭位傾斜の10~20%のOCRが生じたがoblique effectに影響を与えることはなかった。

    【結論】視力は、頭位0°での測定が望ましい。視標の呈示は、頭位±45°では頭位の傾斜方向に合わせる必要がある。頭位-90°では頭位の方向ではなく、垂直方向に合わせる必要があり、視力が低く測定されることを考慮しなければならない。

    図2 縞視力測定実験の流れ矢印は実験の進行を示す。開始とともにランダムドットのマスク刺激が500ms間呈示され、続いて、0.1°の固視点が500ms間呈示された。その後、各周波数条件の縞視標が呈示され、被験者が見えた縞視標の方向をゲームパッドのボタンを押して回答すると1試行が終了した。視標の傾斜4条件×空間周波数7条件の計28試行が無作為に呈示された。 Fullsize Image
  • 塩釜(笹川) 裕子, 宮本 正
    2020 年 49 巻 p. 205-210
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/02/06
    ジャーナル フリー

    【目的】色覚異常者に対し、色誤認を認識させる目的で作成された「先天色覚異常の方のための色の確認表」の妥当性を検証する。

    【対象及び方法】120人の色覚異常者に対し、アノマロスコープを用いて対象を1型2色覚、2型2色覚、1型3色覚、2型3色覚に分類し、それぞれに対して「先天色覚異常の方のための色の確認表」を提示し、正答表数及び正答率を算出した。さらにパネルD-15を用いて、異常3色覚をパネルD-15pass群とfail群に分類して正答表数を算出し、検証を行った。

    【結果】1型と2型の差は見られなかったが、2色覚と異常3色覚の差は大きかった。異常3色覚の約半数が表を誤答し、2色覚では全表正解者は一人もいなかった。また、パネルD-15pass群がfail群に比べてわずかに正答率が高かったが、著明な差はなかった。

    【結論】「先天色覚異常の方のための色の確認表」は異常3色覚の半数、及び2色覚全員に対して色誤認を認識させることが可能であり、その妥当性は立証された。さらに、パネルD-15併用をすると、色覚異常者に対して色誤認の実用的なカウンセリングが可能になる。

  • 旭 香代子, 石井 雅子, 多々良 俊哉, 生方 北斗, 野神 麗子
    2020 年 49 巻 p. 211-216
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/02/06
    ジャーナル フリー

    【目的】三歳児視覚健診においてSpotTM Vision Screener(SVS)を用い、2回連続で測定した場合の測定値の再現性について検討したので報告する。

    【対象及び方法】2018年4月から2019年3月の12か月間に、新潟県燕市の三歳児視覚健診を受健した541名1082眼を対象とした。等価球面度数、球面度数、マイナス円柱度数(以下、円柱度数)について2回測定の測定値を比較した。さらに2回測定の差を求め、Bland-Altman解析にて、95%一致限界を用いて再現性を評価した。円柱軸は、円柱度数が2回とも-0.75 D以上であった282眼の、2回測定の軸の変化量を求めた。円柱度数が-1.75 D未満と-1.75 D以上の群に分け、円柱軸の変化量を比較した。

    【結果】SVS の2回測定時の等価球面度数、球面度数、円柱度数の平均値に差はみられなかった。また、円柱度数が強いほど2回測定時のばらつきが多い傾向にあった。円柱度数が-1.75 D未満の群と-1.75 D以上の群で2回測定時の円柱軸の変化量に差はなかった。

    【考按】SVSを2回測定した場合、等価球面度数、球面度数、円柱度数に再現性がみられた。円柱度数が強い場合、2回測定時にばらつく傾向がみられた。

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