2016 年 45 巻 p. 113-120
【目的】本学では2014年から4年生の臨地実習にポートフォリオを導入した。ポートフォリオは臨地実習における教育効果を反映できるのか検討する。
【方法】材料は総括ポートフォリオ記録内の(A)価値ある成長と、(B)自己の視点の変化の記述である。IBM SPSSテキスト解析ソフトでキーワードを抽出しカテゴリー化した。得られたカテゴリーは主成分分析し、主成分の概念を検討した。
【結果】33名の総括記録を分析した。(A)では8種類のカテゴリー:出来る、患者、検査、行動、コミュニケーション、考える、学ぶ、自信(B)では7種類のカテゴリー:状況、態度、検査、コミュニケーション、考える、疾患、自信を抽出した。主成分構成は(A)の第1主成分はコミュニケーション、考える、検査;第2主成分は患者、学ぶ;第3主成分は自信、できる、であった。(B)の第1主成分は状況、考える、検査;第2主成分は態度;第3主成分はコミュニケーション、疾患であった。
【考按】本研究では視能臨地実習ポートフォリオを主成分分析し、その教育効果を明かした。主成分が示す概念は(A)ではそれぞれ臨床的思考、臨地での学び、モーチベーションの向上;(B)では問題志向、態度の変容、コミュニケーション力と疾患の理解は異なる能力であると考えられた。臨地実習に導入したポートフォリオは臨床的思考の修得を促進し、それらの教育効果を視覚化でき有用である。