日本視能訓練士協会誌
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一般講演
乳児外斜視に対する治療経験
梶谷 奈央木村 亜紀子大北 陽一萩原 聖子三村 治
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2016 年 45 巻 p. 253-258

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抄録

【目的】乳児外斜視の特徴と斜視手術の治療成績について後ろ向きに検討する。

【対象と方法】2005年から2013年の間で、生後1年以内に発症した乳児外斜視に対し3歳未満で斜視手術を施行し、術後1年以上経過観察が可能であった15例を対象とした。斜視角は、交代プリズム遮閉試験あるいはKrimsky法の近見斜視角を用い、両眼視機能検査にはTitmus Stereo Test(以下TST)と大型弱視鏡を用いた。全身疾患の合併、術後眼位、再手術率、両眼視機能の予後について検討した。

【結果】全身疾患の合併がみられたのは15例中6例(40%)で、全例発達遅延を伴っていた。最終受診時に斜位が認められたのは15例中9例(60%)であり、再手術は15例中3例(20%)で施行されていた。TSTが施行可能であった9例中4例(44%)に立体視獲得が認められ、4例中3例(75%)は術前斜位を認めた症例であった。術前斜位の有無と術後立体視獲得の間には有意差を認めた(p=0.017)。大型弱視鏡が施行できた7例中2例(29%)が立体視まで獲得していた。

【結論】乳児外斜視では、術前に斜位が認められた症例に術後の立体視獲得の可能性が高い。

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© 2016 公益社団法人 日本視能訓練士協会
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