日本視能訓練士協会誌
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一般講演
黄斑剥離を伴う裂孔原性網膜剥離における年齢と裂孔部位、術後視力の関連
山本 太郎神原 涼橋本 佐緒里柴田 拓也黒田 有里井上 順治井上 賢治
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2019 年 48 巻 p. 165-169

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抄録

【目的】裂孔原性網膜剥離の術後視力と裂孔発症部位の年齢別傾向について検討する。

【対象および方法】黄斑部剥離を伴う裂孔原性網膜剥離に対して手術を施行し初回復位の得られた138眼(平均年齢51.0±15.4歳)。50歳以下をA群、51歳以上をB群とし、両群の術後1ヶ月の視力及び裂孔発症部位について検討した。また、6ヶ月間観察できた106眼の術後視力の経過についても検討した。

【結果】裂孔発症部位は上耳側70眼(A群27眼、B群43眼)、上鼻側27眼(A群9眼、B群18眼)、下耳側22眼(A群14眼、B群8眼)、下鼻側19眼(A群9眼、B群10眼)で、両群ともに上耳側が最多であった。また若年者では下耳側の裂孔が有意に多かった。術後1ヶ月の平均logMARはA群0.33±0.34、B群0.30±0.30となり、両群間に視力の差は認められなかった。術後6ヶ月間観察できた106眼の術後3ヶ月の平均logMARはA群0.17±0.30、B群0.21±0.29、術後6ヶ月の平均logMARはA群0.13±0.28、B群0.14±0.32であった。両群ともに術後1ヶ月から6ヶ月の間で視力の改善がみられたが1.3.6ヶ月の両群間で視力の差は見られなかった。

【結論】黄斑部剥離を伴った裂孔原性網膜剥離に対する術後視力は年齢によって差が見られなかった。また、裂孔発症部位は若年者において下耳側が有意に多かった。

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© 2019 公益社団法人 日本視能訓練士協会
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