日本視能訓練士協会誌
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シンポジウム「小児の心身症」視覚認知障害とLD (学習障害)
森永 良子
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1990 年 18 巻 p. 44-50

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抄録

learning disabilities (LD)の用語で呼ばれる学習上に困難を持つ子どもの問題は,既存の概念の学習障害とは同一のものではない.知的な能力は正常範囲にありながら,認知能力のアンバランスのために,学習上,行動上に不適応を起こす.原因としては中枢神経系の機能障害が想定され,出現頻度は約3%性差は3:1あるいは5:1で男子に多い.学習は聴覚,視覚,触覚などの感覚器官より情報がinputされ,outputされるまでの過程に表象化,抽象化,概念化が行われる.
視覚は「人」の学習に重要な役割をはたす.視覚認知の障害は,視力は正常範囲にあっても,形,位置を正しく認知できずに,読み・書きの言語学習ならびに日常生活の中での非言語性視覚学習に影響を与える.
視覚認知の発達は正常であっても,視たものの意味の理解困難なLDあるいは文字を読めても文章の理解が困難なLDも存在する.

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