日本視能訓練士協会誌
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近視を伴う後天内斜視の検討
村上 環曹 美枝子富田 香田中 靖彦植村 恭夫
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1993 年 21 巻 p. 61-64

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抄録

近視を伴う後天内斜視と診断された男性7例,女性11例計18例の臨床像について検討した.
発症年齢は9歳から40歳までの平均17歳で,思春期に発症が多くみられた.屈折度は-3.0D以上が75.0%にみられ,平均-4.47Dであった.斜視角は屈折矯正下にて,遠見16Δから50Δ平均32Δの内斜視,近見16Δから50Δ平均30Δの内斜視で,遠見と近見の斜視角の差が10Δ以上の症例は認められなかった.治療法としては大部分の症例に手術を行い,手術施行例15例中14例は10Δ以下の正位または内斜視となり良好な眼位矯正効果を得た.術後の再発例は2例で,1例は35Δの内斜視が残っており,他の1例は初回手術から10年後に再発したために,再手術を施行し,その後内斜位を保っている.また自然治癒例も1例に認められた.発症要因については,近業の増加と精神的要因の関与を推測している.

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