日本視能訓練士協会誌
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間歇性外斜視のボツリヌス毒素療法における過矯正効果について
岡 真由美新井 紀子深井 小久子木村 久
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1995 年 23 巻 p. 113-117

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抄録

基礎型間歇性外斜視に対してボツリヌス毒素療法を施行し,過矯正眼位が出現した後,良好な治療経過を認めた症例と過矯正眼位が出現せず斜視の再発を認めた症例を比較し,経過良好例よりボツリヌス毒素療法の視能矯正について検討した。
良好例の治療前眼位は,30ΔX(T)',25ΔXTであった。ボツリヌスを右眼外直筋へ2回注入し,斜視角は減少したが残余角を認めた。第3回目は両眼外直筋に注入し,70ΔET',68ΔETとなったが5か月後4ΔE',4ΔEに改善し,約2年間良好な眼位を保持した。不良例の治療前眼位は,30ΔX(T)',35ΔXTであった。ボツリヌスの注入は,注入量を漸増しながら右眼外直筋に計4回行った。眼位は,6ΔX',6ΔXに改善したが外斜視の再発を認めた。
ボツリヌスの両眼外直筋への注入により,両眼内直筋のトーヌスが一時的に増強し輻湊が賦活されたため良好な眼位保持が,可能であったと考えられた。

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