抄録
緑内障の診断は,眼圧だけでなく,視神経乳頭,視野,隅角などの所見を基にして,その病態,病型,病期が確定される。緑内障の患者にとって大切と思っているのは視力であり視野で,その推移が最も気懸りなのである。
基本的には初期の緑内障の視野障害はブエルム領域の孤立暗点と末端の鼻側階段が特徴であろう。初期の視野異常は中心30°以内に出現する確率が高く,この領域の変化を検知するために近年のコンピューター制御の自動視野計が開発されてきた(オクトパス,ハンフリーなど)。中心20°以内と鼻側30°域の鍵穴型の領域を静的自動視野では念入りに測定する。しかし,ゴールドマン動的視野計でしっかりと技術的に裏付けられた視野は緑内障の鑑別診断や病期の把握に有用で,特に高齢者や小児の場合に信頼がおけるし,進行状況の判断にも有用で,中期以降の進行例では何より大切である。
本稿では緑内障の視野異常の検出の歴史,視野による病期診断,網膜神経線維層欠損と視野異常の関係,最近の各種視野計測法および視野変化の推移と評価について要点を記述した。