日本視能訓練士協会誌
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臨床に活かす間歇性外斜視の検査法-眼位およびtropiaのなり易さについて-
南村 佳子
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2003 年 32 巻 p. 15-23

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抄録

間歇性外斜視における眼位検査について、当院での方法を紹介し、特に外斜視の頻度に注目した検査とその結果を報告する。
Phoriascopeは、検者が光軸の中心から眼位を観察することが可能であり、眼底からの反帰光が見えるので、縮瞳の様子や角膜反射の位置が分かり易い。
外斜視になる頻度は、間歇性外斜視の程度を判断する上で重要であり、当院ではtropiaのなり易さとして判定基準を設けて評価している。これは、cover uncover test後の眼位、復位の様子を観察することにより、phoriaの維持能力、tropiaのなり易さを評価するものである。4歳から18歳までの間歇性外斜視患者54名のうち、4~9歳まで27名を低年齢群、10~18歳まで27名を高年齢群として検討した。斜視角の大小とtropiaのなり易さには、近見でも遠見でも相関はみられなかった。年齢による比較では、低年齢群よりも高年齢群の方が有意に良好群が多いという結果となった。ご家族への聞き取りによる日常の眼位とtropiaのなり易さには相関がみられ、検査室でのtropiaのなり易さは日常の眼位をも反映しうるものと思われた。
間歇性外斜視の眼位は変則的で、時には随意的に、そして、疲労度や注意力にも左右されるものである。経過を追っていく中で、その時々の眼位として評価していくことに意味があるものと思われる。

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