日本視能訓練士協会誌
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Ryser社製弱視治療用眼鏡箔®を用いた視力と立体視の検討
佐々木 信帆足 悠美子
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2007 年 36 巻 p. 177-182

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抄録

目的と方法:弱視治療用眼鏡箔は不完全遮蔽法として一般的に使用されているが、眼鏡箔が表示通りに低下しないことは従来から指摘されている。今回、我々はRyser社製の弱視治療用眼鏡箔®を用いて片眼の視力を低下させ、実際にどの位の視力になるのか測定し、眼鏡箔の遮蔽効果および視力と立体視の関係について比較し検討した。
結果:遠見および近見視力ともに眼鏡箔の表示通りに低下しない場合が60%を超え、優位眼と非優位眼の間に明らかな差を認めなかった。遠見立体視、近見立体視ともに、優位眼あるいは非優位眼の視力の低下に従い徐々に低下した。
結論:眼鏡箔は、箔の種類によっては遮蔽効果が期待できないことはもとより、箔の効果が予想よりも強すぎた場合、眼鏡箔の表示視力の種類によっては遮蔽弱視を誘発する恐れがあることが判明した。眼鏡箔を用いる際は、治療に適切な遮蔽効果のものか、また治療の目的に沿ったものか注意深く見極めて処方することが重要である。

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