日本視能訓練士協会誌
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知的障害をもつ重複障害児の眼鏡装用開始時期
吉里 聡志鶴 紀子高橋 広
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2008 年 37 巻 p. 145-149

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抄録

重複障害児には健常児に比べ屈折異常が高頻度に認められるが、眼鏡を装用している例は少ない。そのため、視経験の不足を招き具体物の認知に影響を与える可能性が指摘されている。そこで、知的障害を持つ重複障害児の眼鏡装用開始時期を検討した。対象は知的障害をもつ18歳未満の重複障害児100名とした。視経験をより拡げたいと考え、4D以上の遠視・2D以上の近視または乱視をもつ児の様々な反応を観察し、眼鏡処方を検討した。眼鏡処方が必要であったのは44名(44%)で、うち装用可能群19名、装用不能群20名、判定不能群5名であった。装用可能群は0~5歳で18名中10名(56%)、6~11歳で14名中7名(50%)、12~17歳で7名中2名(29%)であり、若年者ほど高率であった。知的障害をもつ重複障害児において、早期に眼鏡処方ができた例ほど装用できる率は高く、屈折矯正眼鏡が知的障害児の発達に役立つと考える。

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